金太郎飴化しているようにも見える経営の上位理念のメッセージ(イメージ:写真AC)

経営方針の上位概念の揺らぎ

多くの企業が経営方針の上位の位置付けで、エコロジーやサステナブル、情報セキュリティに関する方針を打ち出している。少し前のSDGsもそうだが、社会的な要請であり、もの言う株主含めたステークホルダーの声に従う形での活動でもある。

それぞれの内容に、判で押したような文言やメッセージが並んでいるのは、ビジネスライクなコンサルやノウハウ本の影響だろうと感じざるを得ない。中身の解釈や具体的な活動内容、経営の意思は個々の企業ごとに、本来、多種多様であるはずだ。それは事業内容の違いだけではなく、経営の方針や社会問題に対する考え方、価値観自体にも違いがあるはずだからだ。

逆にいうと、メッセージの字面だけ追いかけても、根本的な価値観や施策に対する各種判断は確認できるわけではないことになる。

経営のメッセージを建前として空論化してしまう実態も(イメージ:写真AC)

また、大企業にありがちだが、経営の意思を込めたメッセージが現場に浸透しているかというと、必ずしもそうではない。現場は時として現場事情を優先し、勝手な解釈で意図を捻じ曲げてしまうこともある。時にはメッセージそのものを読んですらない。少なくとも精読して理解している比率はそれほど多くはないのが実態だろう。

経営者メッセージの理解に関する回答は、eラーニングなどではおおむね優等生でありながら、机上の空論化して、実務の際には棚上げ状態になる。それでも、今までは許されていた。むしろ形をつくることで対外的な体裁は整っていただろうし、それ以上の深い追及はなかったかもしれない。

しかし、これからはそうはいかない。発信しているメッセージと活動に矛盾があれば、それ自体が批判の対象になるのであり、偽装の誹りすら受けかねないからだ。グローバル絶対主義一辺倒から新たな東西冷戦でもある経済対立の発露で、今まで以上に価値観の違いは多様化し、隠せなくなっている。

企業としては、社会環境が揺らいでいるので様子見を決め込み、明確な判断を避けるという姿勢をとりがちだ。しかし、それは通用しない。というより、様子見の姿勢こそが、全方位から批判を受けるリスクを高める。あいまいなごまかしは最悪なのである。

現場都合が優先されて経営のメッセージがあとまわし(イメージ:写真AC)

例えば、経営方針上位に位置付ける事項であるはずのコンプライアンス順守に反する行為は、ビジネス的に優位に立つ選択であっても、決して選択できないはずだ。が、現場レベルではそうなっていないことも実はある。これは現場レベルのごまかしと、経営の現場を見ても見ぬ振りをするごまかしが共存する構造で起きる。

今まで以上に、発出する上位メッセージと実際の活動のギャップが大きなリスクになるという現実に向き合う必要がある。