能登半島北部を襲った記録的な大雨から1年となった21日、災害関連死3人を含む計19人の犠牲者が出た石川県の輪島、珠洲両市、能登町などに献花台が設置された。馳浩知事らは3市町を訪れて献花台に花を手向け、犠牲者らの冥福を祈った。
 馳知事は、輪島市立輪島中学3年の喜三翼音さん(当時14)ら4人が亡くなった同市久手川町で、黙とうもささげた。記者団に「まだ復旧の途中で、復興には程遠い現状もある。一日一日めどを立てて進むことができるよう市や関係機関と連携しながら取り組んでいきたい」と話した。
 家屋ごと流された喜三さん宅の跡地前では同市の自営業木下京子さん(64)が手を合わせ、「地震も水害も災害は残酷だ」とため息をついた。
 同市では当時、観測史上最高の1時間雨量121ミリを記録した。能登半島地震で生じた倒木や土砂が河川に流されて氾濫を拡大させる要因となり、地震の復旧が続く中での二重災害となった。
 農地約400ヘクタールにも土砂や流木が堆積。うち200ヘクタール以上が復旧に至らず、今年も作付けができていない。全壊82棟を含む県内約1900棟の住家に被害が及び、1年がたった今も多くの人が仮設住宅で暮らしている。 
〔写真説明〕昨年9月の豪雨の犠牲者に黙とうをささげる石川県の馳浩知事(左)=21日午前、石川県輪島市
〔写真説明〕昨年9月の豪雨で犠牲になった喜三翼音さんの自宅跡地前で手を合わせる木下京子さん=21日午前、石川県輪島市
〔写真説明〕昨年9月の豪雨の犠牲者に向け、献花する石川県能登町の男性=21日午後、同町

(ニュース提供元:時事通信社)