石破茂首相は30日、韓国第2の都市、釜山を訪れ、李在明大統領と会談する。少子高齢化など共通の社会課題の解決に向け、政府間協議による連携をうたった文書を発表する方向で最終調整している。退陣前最後の外国訪問となる見通しで、日韓関係を未来志向で発展させていく方針を改めて確認し、次期政権に引き継ぎたい考えだ。10月1日に帰国する。
 林芳正官房長官は29日の記者会見で、訪韓について「現下の戦略環境の下での協力や、国交正常化60周年を迎えた2国間関係のさらなる進展について議論する重要な機会となる」と語った。
 首相の訪韓は日韓首脳が相互訪問を重ねる「シャトル外交」の一環。石破首相と李大統領の会談は3回目となる。日本の首相による2国間会談を目的とした韓国の地方訪問は2004年の小泉純一郎首相(当時)の済州島以来21年ぶり。
 韓国は少子高齢化に加え、人口減少、食料自給率の低さ、災害多発など日本と共通の社会課題を抱える。とりわけソウル一極集中が深刻で、総人口の約半数が首都圏に集中する。両首脳は8月の会談の際、互いの知見を共有し、協力して解を見つけるため、協議の枠組みを設けることで一致。29日に初会合を開いた。
 会談では日本の首相が交代しても、北朝鮮の拉致・核・ミサイル問題に連携して対処し、日韓、日米韓の協力を強化していくことを申し合わせる見込み。韓国・慶州で10月末に開幕するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に向けた協力も確認する。 
〔写真説明〕スリランカのディサナヤカ大統領と共同記者発表に臨む石破茂首相=29日午後、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)