2025/10/02
防災・危機管理ニュース
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者だったナスララ師がイスラエル軍の攻撃で死亡してから9月27日で1年が経過した。昨年11月の停戦まで続いた攻撃で多数の幹部を殺害された上、イスラエルによる組織切り崩しを受けたヒズボラは勢力を回復していない。一方、ヒズボラ抑え込みを狙うアウン大統領が主導する武装解除の道筋も見えない。
ヒズボラの現最高指導者カセム氏は9月27日、ナスララ師の追悼式典で「武装解除に応じることはない」と気勢を上げた。しかし、ヒズボラは幹部の多くを失い、イスラエル全土を射程に収めていたミサイルを含め、兵器の大多数も破壊された。明治学院大の溝渕正季准教授(中東政治)は「ヒズボラは軍事的に解体状態で、勢力回復は難しい」と分析する。
イスラエルの工作がヒズボラの内部深くに及んでいる実態も明らかになった。昨年9月にはヒズボラ構成員が持つ通信機器が相次いで爆発。また、イスラエル軍はナスララ師ら幹部の居場所を正確に把握し攻撃を実施した。溝渕氏は「組織内が疑心暗鬼になっている」と説明した。
親イランだった隣国シリアのアサド政権が昨年12月に崩壊した影響も大きい。シリア暫定政権は反イランの姿勢を示しており、ヒズボラは重要な補給ルートを遮断された形だ。
今年1月に成立したアウン政権は、米国とサウジアラビアの支援を受け、ヒズボラの弱体化に乗じ年内の武装解除を狙う。その後は国軍が国防を一手に担う構想だ。ただ、溝渕氏はヒズボラを武装解除できる勢力が不在と指摘。シーア派を中心にヒズボラの影響力は残っているとして「無理に武装解除に動けば(1975~90年に起きた)内戦が再燃しかねない」と困難さを解説した。米国も国軍への資金供与を提案するなど後押しするが、実効性に乏しいという。
〔写真説明〕レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者だったナスララ師の追悼式典で流された現最高指導者カセム氏の映像=9月27日、ベイルート南郊(ロイター時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/04/07
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/04/05
-
-
-
ドンロー主義の顕在化に揺れる世界
アメリカとイスラエルが2月28日、イランへ大規模な軍事作戦を開始。イランは徹底抗戦する構えで、中東全体を巻き込む紛争に発展しました。早期停戦が待たれるも、長期化の可能性も依然濃厚。アメリカ政治に詳しい上智大学教授の前嶋和弘氏に、トランプ政権の思惑と今後の軍事行動に影響を与える要因を聞きました。(インタビューは3月16日)
2026/03/30
-
引き合い急増する「セキュリティソムリエ」
ソフトバンクのグループ企業でIT商社のSB C&Sは2021年から、サイバーセキュリティ市場の多様化に対応するため販売パートナーへの支援活動を展開。商社の情報力・目利き力を生かしてSIerやベンダーの提案力を補強し、その先のユーザー企業へ最適なソリューションを届けています。「セキュリティソムリエ」と銘打った活動のねらいを聞きました。
2026/03/30
-
-
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方