リチウムイオン電池の発火事故が多発している。小型・軽量で繰り返し充電でき、モバイルバッテリーやハンディーファン(携帯用扇風機)など多くの身近な製品に利用されているが、外部からの衝撃などに弱いといい、消費者庁は安全な使用と正しい廃棄に注意するよう呼び掛けている。
 同庁によると、リチウムイオン電池を使用した主な20製品の発火・発熱事故は2020~24年度に約2350件発生。スマートフォンが最多の約350件で、電動アシスト自転車とモバイルバッテリーが約300件で続いた。
 充電中のハンディーファンの一部が熱で溶けたケースや、就寝中に腕に着けていたスマートウオッチが発火してやけどを負ったケースなどもあった。
 リチウムイオン電池は外部からの衝撃のほか、熱にも弱く、内部が損傷すると発火や発熱につながる恐れがある。「プラスチックごみ」などとして廃棄されたため、ごみ収集車やごみ処理施設で火災が起きているといい、廃棄方法にも注意が必要だ。
 廃棄方法は住んでいる地域によって異なり、「キケン」などと明記した袋に入れ、「燃やさないごみ」として廃棄するよう求めている自治体や、回収場所を設けている自治体もある。リサイクル可能なものについては、家電量販店などで回収サービスも行われている。
 同庁は、炎天下の車内など高温になる場所での保管や就寝時の充電を避け、膨張や異音などの異常を感じたら使用を中止するよう注意。堀井奈津子長官は「リチウムイオン電池を使用した身の回りの製品に目を向け、安全に使用・廃棄してほしい」と話している。 
〔写真説明〕ハンディーファン(携帯用扇風機)を利用した製品評価技術基盤機構(NITE)の再現実験(この製品は実際の事故とは関係ありません)=2日午後、消費者庁

(ニュース提供元:時事通信社)