【ワシントン時事】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は16日、ワシントンで2日間の討議を終え閉幕した。共同声明の採択は2会合ぶりに見送られたが、議長国の南アフリカが議長総括を公表。世界経済について「発生しつつあるリスクに対処すべく、多国間協力の強化が重要」だと強調した。中国によるレアアース(希土類)の輸出規制強化やトランプ米政権の高関税政策を踏まえ、経済の下振れリスクに警告を発した。
 議長総括は、喫緊の課題として貿易摩擦やサプライチェーン(供給網)の混乱、進行中の戦争や紛争を挙げた上で「金融と物価の安定にリスクを高めている」と警戒感を示した。多国間協調を通じて「開かれた世界経済に貢献し、持続可能な成長を損なわないよう対処する」と主張した。
 2日間の討議では、米中摩擦や金融規制改革などが世界経済に与える影響を議論。参加各国からは先行きを不安視する声が相次ぎ、日本政府は中国によるレアアース規制に強い懸念を表明した。
 G20会議に出席した日銀の植田和男総裁は記者会見で「世界経済はこれまでは強靱(きょうじん)さを見せているが、引き続き高い不確実性や複雑な課題に直面している」と指摘した。加藤勝信財務相は欠席した。 
〔写真説明〕20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を終え、記者会見する日銀の植田和男総裁(左)と財務省の三村淳財務官=16日、ワシントン
〔写真説明〕20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の看板=16日、ワシントン(ロイター時事)

(ニュース提供元:時事通信社)