2025/10/21
定例セミナーダイジェスト
COVID-19の課題振り返りと新たな感染症への備え
第4回リスクアドバイザー情報交換会 9月26日
特別講演
国立健康危機管理研究機構危機管理参事/医師・医学博士
和田耕治氏
参加者によるグループディスカッション
リスクコミュニケーションの難しさふまえた改善が重要
第4回リスクアドバイザー情報交換会は9月26 日、東京・市ヶ谷で「COVID-19の課題振り返りと新たな感染症への備え」をテーマに開催。国立健康危機管理研究機構危機管理参事で医師・医学博士の和田耕治氏が特別講演を行ったほか、今後新たなパンデミックが発生した際に企業としてどう対応するのかを参加者同士でディスカッションした。
和田氏は、公衆衛生の観点から新型コロナまん延期におけるリスクコミュニケーションの課題などを解説。さまざまな調査によって密な空間で感染が広がるメカニズムが詳細に解明されたことに触れ「これがエビデンスとなり、例えば『飲食の場面はリスクが高い』など、危険情報がわかりやすく強く伝わった」と話した。
一方で安心情報は「同じく飲食の場面でいうと『換気をして、少人数で、短時間で、ある程度の距離があればリスクは下げられる』といった具合に、わかりにくく、伝わり方も弱い」と指摘。こうした危険情報と安心情報の特性を理解したうえで「どうすれば正しく恐れるための伝え方ができるか、メディアも含め考えなければならない」とした。
続くディスカッションでは、新興感染症の「海外発生期」「国内発生早期」「感染拡大期」「まん延期」の各フェーズで企業が取るべき行動とその際の課題について、参加者が4つのグループに分かれて検討。海外発生期と国内発生早期においては、感染症対策を実施する際のトリガーと行動基準を早期に決めておくことが重要との意見が出された。また、そのための正確な情報収集と意思決定におけるトップとの合意形成がこの時期の課題とされた。
感染拡大期は、感染者の把握と業務に応じた各種行動制限の徹底が重要との意見が出されるとともに「(コロナでは)アップデート情報が伝わらず従業員から問い合わせが増えた」という課題が出された。まん延期については、感染者の特定が差別につながる、危機意識がゆるむなど「社内コミュニケーションが難しくなる」との発言があったほか、行動制限の緩和・解除のタイミングが課題となることが示された。
「リスクアドバイザー」についてはこちらをご参照ください。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/12/05
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方