COVID-19の課題振り返りと新たな感染症への備え

第4回リスクアドバイザー情報交換会 9月26日

特別講演
国立健康危機管理研究機構危機管理参事/医師・医学博士
和田耕治氏

参加者によるグループディスカッション

「COVID-19の課題振り返りと新たな感染症への備え」をテーマに第4回リスクアドバイザー情報交換会を開催。国立健康危機管理研究機構の和田耕治氏による講演

リスクコミュニケーションの難しさふまえた改善が重要

第4回リスクアドバイザー情報交換会は9月26 日、東京・市ヶ谷で「COVID-19の課題振り返りと新たな感染症への備え」をテーマに開催。国立健康危機管理研究機構危機管理参事で医師・医学博士の和田耕治氏が特別講演を行ったほか、今後新たなパンデミックが発生した際に企業としてどう対応するのかを参加者同士でディスカッションした。

和田氏は、公衆衛生の観点から新型コロナまん延期におけるリスクコミュニケーションの課題などを解説。さまざまな調査によって密な空間で感染が広がるメカニズムが詳細に解明されたことに触れ「これがエビデンスとなり、例えば『飲食の場面はリスクが高い』など、危険情報がわかりやすく強く伝わった」と話した。

一方で安心情報は「同じく飲食の場面でいうと『換気をして、少人数で、短時間で、ある程度の距離があればリスクは下げられる』といった具合に、わかりにくく、伝わり方も弱い」と指摘。こうした危険情報と安心情報の特性を理解したうえで「どうすれば正しく恐れるための伝え方ができるか、メディアも含め考えなければならない」とした。

「新たなパンデミック発生時の対応計画」について、参加者によるグループディスカッションを実施

続くディスカッションでは、新興感染症の「海外発生期」「国内発生早期」「感染拡大期」「まん延期」の各フェーズで企業が取るべき行動とその際の課題について、参加者が4つのグループに分かれて検討。海外発生期と国内発生早期においては、感染症対策を実施する際のトリガーと行動基準を早期に決めておくことが重要との意見が出された。また、そのための正確な情報収集と意思決定におけるトップとの合意形成がこの時期の課題とされた。

感染拡大期は、感染者の把握と業務に応じた各種行動制限の徹底が重要との意見が出されるとともに「(コロナでは)アップデート情報が伝わらず従業員から問い合わせが増えた」という課題が出された。まん延期については、感染者の特定が差別につながる、危機意識がゆるむなど「社内コミュニケーションが難しくなる」との発言があったほか、行動制限の緩和・解除のタイミングが課題となることが示された。

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