自動車大手7社の2025年9月中間連結決算が10日、出そろった。トランプ米政権の高関税の負担額は7社で合計1兆4000億円超えとなり、日産自動車、マツダ、三菱自動車の3社は純損益が赤字に転落。残る4社も大幅減益となった。通期も、米関税影響額は計2兆5000億円を超す規模が見込まれ逆風が続く。半導体などサプライチェーン(供給網)への不透明感も増している。
 米自動車関税は日米合意により9月中旬に27.5%から15%に引き下げられた。ただ「大変厳しい状況であることには変わりない」(マツダのジェフリー・ガイトン専務)。各社は車両や部品の現地生産を進めるが、米関税影響額はトヨタ自動車が9000億円、日産が1497億円に上った。
 関税負担分を販売価格に反映させて値上げすれば、消費マインドを冷やす恐れがある。SUBARUの大崎篤社長は「簡単な話ではない」と話し、トヨタやホンダも慎重姿勢だ。為替相場が前年同期と比べ円高だったことや原材料高もマイナス要因となった。
 北米が好調だったトヨタとSUBARU以外の5社は、四輪の世界販売台数を減らした。特に、中国を含むアジアでの苦戦が目立った。
 下期も厳しい事業環境が続く。米中対立を背景に、中国系半導体メーカー「ネクスペリア」からの部品供給が停滞し、ホンダや日産は工場の生産停止や減産を強いられた。同社からの半導体出荷は再開する見通しとなったが、地政学リスクも自動車各社の先行きに影を落としている。 
〔写真説明〕横浜港の埠頭(ふとう)に並ぶ自動車(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)