2026/01/03
防災・危機管理ニュース
【ニューヨーク時事】人工知能(AI)の普及に伴い、世界で必要な電力が急増している。特に巨大IT企業やデータセンターが集積する北米の需要は、約10年間で原子力発電所150基分に相当する150ギガワット(GW)も増える見通し。原子力や化石燃料の「復権」につながり、エネルギーの未来が一変する可能性がある。
国際エネルギー機関(IEA)は、世界全体でAIサーバーの電力使用量が2024年から30年にかけ5倍に膨らむと予測する。米国のデータセンター数は4000超と圧倒的首位で、日本の約17倍に上るとされる。
北米の電力業界団体によれば、電力使用量が最も多いピーク時の需要は25年の約880GWから、34年には約1030GWに達する見通し。生成AIや暗号資産の台頭が背景にあり、電力システムに「難題を突き付けている」(同団体)。
一方、米国では老朽火力発電所の廃止が相次ぎ、エネルギー省によると、30年までに計100GWの発電能力が失われる。積極的な脱炭素目標を掲げる米IT大手各社は、環境に優しい再生可能エネルギーの導入を急ぐだけでなく、電力不足を補うため、より安定的に大量供給が見込める原発への投資を次々に表明している。
マイクロソフトは一昨年、1979年に世界初の炉心溶融(メルトダウン)が発生した米東部ペンシルベニア州スリーマイル島の原発から、20年間にわたり電力を購入する契約を締結。事故が起きた2号機は対象外で、2019年に運転を停止した1号機が27年にも再稼働される予定だ。
グーグルやアマゾン・ドット・コムは、出力が小さい次世代原子炉「小型モジュール炉(SMR)」のプロジェクトに資金を投入。「地上の太陽」と呼ばれる核融合発電の分野でも、ベンチャー企業への先行投資を進める。
ただ、閉鎖済み原発のうち再稼働できるものは限られるほか、SMRの実用化は30年以降、核融合発電は40年代になるとみられる。このため、足元では化石燃料に依存せざるを得ず、石炭火力の廃止時期の後ろ倒しや、「天然ガス火力の新設が増える」(エネルギー関係者)との見方が強まっている。
〔写真説明〕米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のデータセンター=9月23日、バージニア州(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

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