【ニューヨーク時事】米国では確定申告が本格化し、税還付シーズンが到来している。トランプ大統領肝煎りの大型減税が個人消費を喚起するとの期待感が根強く、今年の実質GDP(国内総生産)伸び率はおおむね2%台の成長が見込まれる。ただ、米国とイスラエルによるイラン攻撃が長引き、原油価格高騰を受けてインフレ懸念が再燃すれば、景気楽観論に冷や水を浴びせかねない。
 米金融大手ウェルズ・ファーゴは、今年の還付総額が前年比2割増の4000億ドル(約63兆円)に膨らむと試算。消費を最大900億ドル押し上げると予想した。トランプ政権の高関税政策で商品の値上げが続き、家計が逼迫(ひっぱく)する中、同業バンク・オブ・アメリカは「還付増加は(特に苦しい)若年層らの消費を支える」とみている。
 ニューヨーク連邦準備銀行のウィリアムズ総裁は米経済の回復力の強さに関し、歴史的な株高の恩恵を受ける高所得者の消費拡大が原動力だと分析した。一方、住宅ローンの延滞率上昇など金融環境が悪化し、「低所得者はより制約を受けている」と警戒。カナダ金融大手ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)は還付の効果は限られ、「消費よりもローン返済が優先される」との見解を示した。
 気がかりなのは、中東情勢の緊迫化だ。原油相場急騰に伴うガソリン価格の上昇懸念や、イランによる中東各地への報復攻撃で戦闘の長期化観測もくすぶる。金融大手JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)は「人々が思っているよりもインフレリスクはある」と警鐘を鳴らした。
 市場では、連邦準備制度理事会(FRB)による追加利下げの時期が後ろ倒しになるとの見方が浮上。拙速な金融緩和はインフレ圧力を強めかねないためだ。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、イラン攻撃が及ぼす影響を判断するのは「時期尚早」と指摘し、「より多くの経済指標の見極めが必要」と注視する構えだ。 
〔写真説明〕米ニューヨーク証券取引所(NYSE)の外観(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)