【カイロ時事】イランの体制転換を視野に入れる米国が、「民衆蜂起」を促すためイランや隣国イラク一帯に居住するクルド人勢力との連携を模索している。米イスラエル両国とイランの戦闘にクルド勢力が参戦することになれば、イラン情勢は一段と混迷を深める恐れがある。
 米FOXニュースは4日、米当局者の話として、イラクのクルド勢力が国境を越えてイランに入り、地上作戦を開始したと報じた。イランメディアは5日、同国情報省と精鋭軍事組織「革命防衛隊」が西部の国境地帯で「分離主義テロ組織」の拠点を攻撃したと伝えた。イランに侵入し軍事作戦を展開する「米国とシオニスト(イスラエル)の支援を受けた企て」を阻止したと説明した。
 「国家を持たない最大の民族」と称されるクルド人は、イラクやイラン、トルコやシリアにまたがる地域に暮らし、国境を越えて連帯している。イランとイラクの国境付近には戦闘員数千人がいるといい、イランでは最も組織化された反体制派勢力とされる。
 CNNテレビは、米中央情報局(CIA)がクルド勢力に武器を供与するため取り組んできたと伝えた。トランプ米大統領は、2月28日の対イラン軍事作戦開始以降、イラクやイランのクルド勢力指導者と相次いで電話で会談したという。今後の展開について話し合ったとみられる。
 クルド勢力は以前も米国と連携した例がある。イラクやシリアで勢力を広げた過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討作戦で共に戦った。クルド勢力の代表者は米メディアに対し、軍事作戦を準備していると語っていた。
 ただ、クルド勢力の参戦に触発されてイラン国民が蜂起するとは限らない。クルド勢力との交戦でイランの治安部隊が消耗すれば、再び反体制デモが活発化するとの見立てもあるが、国内の混乱が増すだけの可能性もある。 

(ニュース提供元:時事通信社)