2016/03/10
防災・危機管理ニュース
都市総合防災研究会(代表:防災科学技術研究所理事長 林春男氏)の第1回研究会が3月3日、都内の国際会議場で開催された。同研究会は、安全・安心な社会の存続を脅かす事態が頻発していることから、今後想定される災害・危機に対し、特に都市圏や都市部における課題を対象として、総合的に検討する場として昨年11月に設立された。発起人は、新潟大学危機管理室 教授の田村圭子氏、公益財団法人日本法制学会理事長の澤野次郎氏、国際危機管理学会日本支部理事の田中秀宜氏(日本ミクニヤ㈱代表取締役)、同支部理事の中澤幸介 (㈱新建新聞社取締役)。
当日は「2つの巨大災害の対応を生き抜いた同志に学ぶ~2011東日本大震災の戦友VS 1995阪神・淡路大震災の仲間~」と題し、東日本大震災と阪神・淡路大震災でそれぞれ災害対応や復興となったメンバーが集まり、東日本大震災から5年という節目を前にそれぞれの体験を共有した。
冒頭挨拶で林春男理事長は「東日本大震災と阪神・淡路大震災では違う経験をしたのか、同じ経験だったのか。15年の時間の隔たりがあって(巨大災害対応において)何が変わって、何が変わらなかったのかを学ぶことは重要」とした。なお、研究会での発表内容は非公開。
都市総合防災研究会は今後、災害に対する予測力、予防力、対応力を向上させるために、「理学・工学の最新研究」「防災情報」「危機管理」「災害法制」「研修・訓練」等についての知見や技術を収集・開発・研究し、セミナー形式で発信していく。オープンセミナーを含め年間4回のイベントを開催する予定。
当日登壇したメンバーは以下の通り。
【登壇者一覧】
『2011東日本大震災の戦友』
1.越野修三
現在: 岩手大学地域防災研究センター教授
当時: 岩手県危機管理監
2.眞瀬智彦
現在: 岩手医科大学教授、災害時地域医療支援教育センター長
当時: 県災害対策本部支援室医療班で統括DMATを指揮
3.中村耕輔
現在: 盛岡地区広域消防組合消防本部警防課警防係長
当時: 県防災航空隊隊員として対応
4.太田代剛
現在: 株式会社岩手日報社編集局報道部次長
当時: 現在と同じく災害報道記者として活動
5.佐々木亨
現在: 釜石市危機管理監防災危機管理課課長
当時: 市民生活部市民課釜石地区生活応援センター所長として釜石小避難所を運営管理
6.猪又博史
現在: 釜石市市民生活部環境課課長補佐
当時: 市災害対策本部で対応
7.佐藤耕造
現在: 公益社団法人岩手県トラック協会専務理事
当時: 県産業文化センター(アピオ)で物流の現場を指揮
8.米慎司
現在: 岩手県教育委員会事務局盛岡教育事務所教務課主任指導主事
当時: 釜石市教育委員会の指導主事として防災教育・学校
『1995阪神・淡路大震災の仲間』
1.林春男
現在: 防災科学技術研究所理事長
当時: 京都大学防災研究所助教授として被災者復興支援会議メンバー
2.天川佳美
現在: 有限会社きんもくせい代表取締役
当時: 「がれきに花を」活動
3.金芳外城雄
現在: NPO法人「神戸の絆2005」専務理事
当時: 震災時神戸市教育委員会総務部長、東灘区長、生活再建本部長
4.小林郁雄
現在: 神戸山手大学環境文化学科教授
当時: 阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク結成、世話人
5.瀬尾征男
当時: 東京海上火災保険神戸支店長
6.山本晋吾
現在: 人と防災未来センター事業部普及課長
当時: 兵庫県職員
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方