ブラジル大統領選、最有力候補のボルソナロ氏(2016年9月弊誌リオ五輪取材にて編集部撮影)

トーマツは4日、「グローバルビジネス記者勉強会」を開催。ディレクターの茂木寿氏は、日系企業に影響を及ぼすリスク動向について解説した、地震・台風・豪雨など自然災害によって起こる長期間の停電リスク、7日に行われるブラジル大統領選挙を挙げた。

北海道で異例の全域停電

9月6日未明に起きた北海胆振東部地震は、震源地近くの主要発電所が停止したことをきっかけに全道296万戸に及ぶ大規模停電となり、一般家庭だけでなく、企業にも工場操業停止のほか空路・鉄道といった交通寸断など大きな影響を与えた。また停電によりインターネットや携帯電話網まで途絶したことで、企業にとっては安否確認ができないケースもあった。一方、緊急時に備えて自家発電装置を稼働させ事業を早期復旧させた企業に改めて注目が集まった。

茂木氏は「こうした大規模停電は北海道特有ことではなく、首都圏や他の大都市でも同じようなことがいつでも起こり得る」と注意喚起した。また2011年の東日本大震災で一気に取り組みが進んだBCP(事業継続計画)について「BCP策定から7年が経ち、計画を見直すにはちょうどよい時期にある。ここ数カ月の度重なる自然災害を経て、改めて実効性を問う動きが広がっている」と評価した。

極右優勢のブラジル大統領選

7日に行われるブラジル大統領選。当初候補者で支持率トップであったルラ元大統領が汚職罪で立候補できなくなったことで、有力候補不在の中で元陸軍大尉の極右候補・ボルソナロ氏が世論調査で1位となっている。

背景には現・労働者党政権による貧困層へのばらまき政策の効果が薄く、国庫負担を増大させている現状がある。ボルソナロ氏は現政権に不満を持つ中間層の支持を集めている一方で、女性・黒人蔑視など過激な発言が多く「ブラジルのトランプ」と揶揄される向きもあるという。

ブラジルに進出する日系など外資企業にとって、労働者に対する過保護な政策が是正されることへの期待がある一方、経済の低迷の中でさらなる政治的混乱は大きなリスクとなっている。

茂木氏は「世界情勢が大きく動くなかで、既成政党から外れた過激で極端な人が国の元首になる傾向がある。今後大きな政策変更や法改正に対して自社事業への影響を特定し対処する仕組みが求められる。自動車関連をはじめ日系企業にとっては受難の時期が続く」と注意を呼び掛けた。

(了)

リスク対策.com:峰田 慎二