2026/05/12
防災・危機管理ニュース
アフリカで、日米欧がリチウムやニッケルなど重要鉱物の鉱山や物流網への投資を加速している。鉱物資源が豊富なアフリカには、既に中国が巨大経済圏構想「一帯一路」による勢力圏を築いている。この牙城を崩せるかは、日米欧が産業育成につながる支援を提供できるかにかかっている。
半導体から軍需品まで、あらゆる製造業に欠かせない重要鉱物。中国はこれを押さえるため、2000年以降、アフリカの鉱山権益の獲得を急いできた。鉄道や港湾にも巨額の資金を投じ、輸送網を確保。レアアース(希土類)や、コンゴで採れるコバルトの大半を握った。
中国は、敵対国への輸出停止などの「外交カード」としてこの権益を活用している。アフリカ諸国は当初中国の投資を歓迎したが、近年では劣悪な労働環境を問題視。対価の還元が十分ではなく、雇用改善や産業育成にもつながらないことから、未加工鉱石の輸出を制限する国が増えてきた。
ザンビアのヒチレマ大統領は「アフリカ諸国はもはや原材料の輸出に興味はなく、自国製品への付加価値を望んでいる」と訴える。アフリカ連合(AU)も、鉱山の共同開発や精錬事業の立ち上げ支援を投資国側に求めている。
日本は、地域密着型の開発支援でこうした期待に応えようとしている。ナミビアでは、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と豊田通商が、レアアース鉱山の開発に加え、雇用創出につながる精錬工場の建設も計画。今年度中に事業化評価の完了を目指す。国際協力機構(JICA)は貧困地域での農業の普及や観光業の発展などに取り組み、鉱物資源のみに頼らない産業育成に努めている。
茂木敏充外相は6日まで、ザンビアや南アフリカなど4カ国を歴訪。日本主導のアフリカ開発会議(TICAD)で培った信頼を武器に、「アフリカのオーナーシップを大切にする」と訴え、各国との連携を深めた。
欧米各国も、アフリカ内陸部の鉱山地帯と西部アンゴラの港を鉄道でつなぐ輸送網「ロビト回廊」計画で、鉄道敷設や鉱山開発での賃金を引き上げ、女性や若者の雇用創出を図っている。日米欧と中国とのせめぎ合いは、今後激しさを増しそうだ。
〔写真説明〕コンゴ民主共和国南東部に位置し、中国企業が所有する世界最大級の銅・コバルト鉱山の処理施設。コバルトは電池に必須の資源で、世界の産出量の70%以上を同国が占めている=2023年6月17日(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/15
-
-
-
-
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
-
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/09/07
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方