2026/05/22
防災・危機管理ニュース
【ニューヨーク時事】米新興企業による歴史的規模の新規株式公開(IPO)の動きに市場が熱狂している。スペースXは20日に目論見書が公開された。対話型AI(人工知能)「チャットGPT」を手掛けるオープンAI、高性能なAIモデル「クロード・ミュトス」が話題のアンソロピックでも上場観測が相次ぐ。各社はAI産業への期待を追い風に資金を獲得して成長を加速する狙い。ただ、AI産業の収益性には懐疑的な見方が根強く、一部の企業に資金が集中することへの懸念も指摘されている。
こうした新興企業が上場を目指す背景には、AI開発競争の激化がある。スペースXの2025年の設備投資の規模は約207億ドル(約3兆3000億円)で、23年から5倍近くに急増。今年は1~3月期だけで約101億ドル(約1兆6000億円)を投じ、うち8割弱をAI関連投資が占める。オープンAIやアンソロピックでも、開発費やAI利用拡大を支えるデータセンターなどのインフラ確保に向け資金調達の重要性は増している。
一方、投資家の3社への期待は高く、米メディアによるとスペースXのIPOによる調達額は過去最大の750億ドル(約12兆円)規模と見込まれる。IPO時の時価総額が最大1兆ドル(約160兆円)に達するとも報道されるオープンAIも、上場の見通しが報じられると大株主のソフトバンクグループの株価が急伸。市場の期待の高さが反映されている。
もっとも、AI産業の収益力には不透明さが残る。スペースXの25年12月通期の純損益は約49億ドル(約7800億円)の赤字で、投資先行のAI関連事業が重しとなった。アンソロピックが今年4~6月期に四半期ベースで初の営業黒字を達成すると報じられたことは市場に好感されたものの、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルはオープンAIの売上高や利用者数が今年に入ってから目標を下回っているとも伝えている。
また、こうした一部企業が市場の資金を吸い上げることへの懸念も浮上。会計大手アーンスト・アンド・ヤング(EY)によると25年の世界のIPO調達額は1718億ドル(約27兆3000億円)で、スペースXが750億ドルを調達すれば4割を占めることになる。3社への投資熱の高まりは他産業への投資を手控える理由になりかねない。中東情勢の影響で長期金利が上昇する中、「債券を売って株式に資金を移す動きが、さらなる金利上昇圧力になる可能性もある」(日系証券筋)との指摘も出ている。
〔写真説明〕巨額の資金調達が見込まれる米新興企業の新規株式公開(IPO)について報じる米メディア=21日、米ニューヨーク
(ニュース提供元:時事通信社)

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