2026/08/07
防災・危機管理ニュース
アラスカ州北部の天然ガスを太平洋に面した南部まで約1300キロのパイプラインで運び、アラスカ州内にガスを供給するとともに、LNG(液化天然ガス)に加工して輸出を目指す「アラスカLNGプロジェクト」。実現すれば日本のLNG調達の選択肢となるが、採算性や実現性への懸念から具体的に調達を確約した日本企業はない。エネルギー市場に詳しいアラスカ大アンカレジ校のブレット・ワトソン博士は時事通信のインタビューで、プロジェクトからのLNG輸出は太平洋地域を中心とするエネルギー市場で「競争力を持ち得る」との見方を提示。また、事業の信頼性を高める観点からも日本企業の参画に期待を込めた。
主なやり取りは以下の通り。
―プロジェクトの重要性は。
アラスカでは、家庭や電力のエネルギー源にクック湾で生産される天然ガスを利用している。埋蔵量はまだあるが生産コストは上昇していく見込みだ。新たなガス供給源の候補がノーススロープで、水力や石炭、再生可能エネルギーなどの選択肢はあるが、現在必要とされている天然ガスを代替できる潜在力を持つものはない。つまり、アラスカの選択肢は、「プロジェクトを進めるか、LNGを輸入するか」となる。構想が実現すれば、州の税収にもつながるだろう。
―世界市場でのプロジェクトの競争力は。
ノーススロープでのガス調達コストやパイプライン建設費次第だが、アラスカ州議会でプロジェクトへの税制優遇措置が議論されており、実現すれば損益分岐点は低下する。(ガス価格が上昇した)新型コロナ禍以降の水準であれば、プロジェクトは競争力を持ち得るだろう。15~20ドル程度となっている現在の(アジア市場の指標となる)JKM価格であれば間違いなく競争力はある。
―半世紀前から進んでこなかった構想が実現するのか。
それはアラスカ州の住民自らが疑問視していることでもあるが、実現は近づいている。環境、輸出関連の連邦政府の許認可は取得し、具体的なコスト試算や設計も出てきている。(調達側となる)アジアの電力・ガス会社や、パイプメーカーとの契約、資金調達など、やるべきことは山積みだが、着実に前進している。
―日本企業の調達や参画の重要性は。
太平洋に面したLNG計画が、日本の購入なしに市場に参入するのは困難だが、ほかのアジア各国の購入による実現も考えられる。ただ、日本のエネルギー企業は、最も市場に精通したプレイヤーの一つだ。日本企業の参画は、事業の信頼性を高めることにもつながり、その点からも期待している。
―トランプ政権の貢献は。
第2次トランプ政権がプロジェクトに熱心に取り組んでいることは事実。一般教書演説でもプロジェクトが取り上げられた。これまで、具体的な財政支援などの約束は行っていないが、トランプ政権は最近(カナダ鉱山開発企業の)トリロジー・メタルズに出資したように、今後、政権が実質的な支援に踏み出しても驚きではない。(アンカレジ=米アラスカ州=時事)。
〔写真説明〕インタビューに応じるアラスカ大アンカレジ校のブレット・ワトソン博士=7月21日、米アラスカ州アンカレジ
(ニュース提供元:時事通信社)

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