ネパール東部ラスワ郡で起きた大規模土石流では、巻き込まれた人の多くが中国チベット自治区にあるカイラス山やマナサロワル湖を目指していたとみられる。一帯は複数の宗教の聖地であるとともに、風光明媚(めいび)な景観で知られ、トレッキング客も多い。
 チベット文化に詳しい駿河台大の村上大輔教授(文化人類学)は「カイラス山はチベット仏教、ヒンズー教、ジャイナ教、ボン教の信徒があがめる聖地。チベット仏教では50キロ超の巡礼路を時計回りに歩けば、罪や心身の汚れを洗い落とせると言われている」と説明。麓には「聖なる湖」とされるマナサロワル湖が横たわり、鮮やかな青色の水面とカイラス山が相まって雄大な景色が広がる。宗教体験や自然を求める外国人観光客にも人気が高く、温暖な5~9月は巡礼者でにぎわう。
 村上氏によると、特に今年は「巡礼の功徳が何倍にも増す」という午(うま)年に当たり、より多くの人が訪れていた可能性がある。日本からはツアーで訪れるのが一般的で、ネパール側からカイラス山一帯にアクセスする場合もあるという。
 村上氏は、雨期のネパールは土砂崩れのリスクが高く、今回の土石流も地盤の緩みが影響しているのではないかと指摘。「この時期のツアー決行が妥当だったのか、省みる必要がある」と警鐘を鳴らした。 
〔写真説明〕カイラス山を巡礼するチベットの人々=2014年8月、中国チベット自治区(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)