2026/09/01
防災・危機管理ニュース
熊本地震で震度7を観測した熊本県氷川町では、妊産婦や子連れの家族が利用できる「母子避難所」が県内で唯一開設されている。事前の設置計画がある自治体は少ないといい、立ち上げを主導した災害派遣医療チーム(DMAT)の看護師は「日を追うごとにニーズが高まる。必要性を広く知ってほしい」と話す。
母子避難所は、特別な配慮が必要な被災者を受け入れる福祉避難所の一つで、氷川町は8月6日、「宮原福祉センターさくら」に設けた。入居世帯ごとに災害用テントでプライバシーを確保。粉ミルクや月齢別の離乳食、おむつなど子育てに使う支援物資を集約・提供する拠点とし、看護師や助産師、保育士らがケアに当たっている。
開設から運営までを支援している国立健康危機管理研究機構DMAT事務局の看護師上吉原良実さん(45)によると、8月27日現在で14世帯59人が避難する。一般の避難所で子どもが騒がしいことを注意されて居づらくなったり、車中泊や在宅避難に限界を感じたりした人の利用が増えており、「発災直後よりもニーズが高まっている」と語る。
2016年の熊本地震や24年の能登半島地震の被災地でも開設した経験がある上吉原さんは「福祉避難所の整備は進んでいるが、高齢者や障害者に偏りがちで、母子について準備している自治体はまだ少ない」と指摘する。
今回の地震で福祉避難所を設けた熊本県内5市町のうち、氷川町以外は母子避難所を置いていない。一般の避難所に出産間近の妊婦が数人いる八代市の場合、受け入れ可能な福祉避難所は子どもが遊べる空間や乳幼児の沐浴(もくよく)設備がない老人ホームなどに限られるため、「入居を敬遠する向きがある」(担当者)という。
能登地震で母子避難所を開設した石川県輪島市は、その後、事前計画を見直すなど改善に向けた取り組みを続けている。ただ、計画はあっても実際に開設できない自治体も多いといい、上吉原さんは「今後、行政の仕組みとしてきちんと立ち上がるようにしていきたい」と話している。
〔写真説明〕熊本県氷川町に開設された母子避難所で遊ぶ子どもら(同町提供)
〔写真説明〕熊本県氷川町の母子避難所に集められた支援物資=8月19日(同町提供)
〔写真説明〕熊本県氷川町で母子避難所を立ち上げた看護師の上吉原良実さん=8月19日、同町
(ニュース提供元:時事通信社)



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