労働における女性活躍の重要性が指摘されている(イメージ写真:Adobe stock)

はじめに

2025年6月、「労働政策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律」が成立・公布されました。この法律は3つの法律の一部を改正することをとおして、主として、①カスタマーハラスメント対策の義務化、②求職活動等におけるセクシュアルハラスメント対策の義務化、③女性活躍の更なる推進を図るものであり、本年10月1日から改正法が全面的に施行されるに至りました。

この度の改正は事業主に対して必要な措置を義務づけるなど重要なものになっていますので、【前編】【中編】【後編】の3回に渡って、上記①~③に関する主なポイントについてご説明したいと思います。

【後編】である今回は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(以下「女性活躍推進法」)の一部改正として、③女性活躍の更なる推進を取り上げてみたいと思います。

女性活躍推進法の一部改正

労働における男女平等という理念の実現はもとより、近年の労働力不足対策という政策的理由もあり、より一層、労働における女性活躍の重要性が指摘されるようになっていました。

そうした中、女性活躍推進法の一部改正として、大要、次の6点が改正されました。

  • ①基本原則として、女性の職業生活における活躍の推進の際の留意事項に女性の健康上の特性が追加(2条1項)

    ②基本方針として、職場において行なわれる就業環境を害する言動に起因する問題の解決を促進するために必要な措置に関する事項が追加(5条2項)

    ③基準に適合する認定一般事業主の認定基準として、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る雇用管理上必要な措置に関する情報の公開が追加(12条)

    ④特定事業主行動計画の変更手続の見直し(19条3・4項)

    ⓹女性の職業選択に資する情報の公表の義務の適用拡大等(20条1・2項、21条)

    ⑥女性活躍推進法の有効期限を令和18年3月31日まで10年間延長(附則2条1項)
男女間の賃金差異についても、公表しなくてはならない(写真:Adobe stock)

上記の各改正点については、本年10月1日の全面的な施行に先立って、改正法の公布(2025年6月)と同時に施行されたものや、本年4月1日に施行されたものがあります。

そして、⑤女性の職業選択に資する情報の公表の義務の拡大等は、本年4月1日に施行されており、これがこの度の改正のメインともいうべきものですので、この点を中心に取り上げます。

女性の職業選択に資する情報の公表の義務の適用拡大等(一般事業主について)

女性活躍推進法20条は、一般事業主による女性の職業選択に資する情報の公表として、国又は地方公共団体以外の事業主である一般事業主に対して、所定の情報の公表義務・努力義務を定めています。

同条による義務付けにおいて、一般事業主は、次のように分けられています。

  • ●1項(義務):常時雇用する労働者の数が300人を超える一般事業主

    ●2項(義務):常時雇用する労働者の数が100人を超え300人以下の一般事業主

    ●3項(努力義務):常時雇用する労働者の数が100人以下の一般事業主

そして、1項・2項に関し、次の2点が公表義務事項として共通する重要なものとなっていますので、今回はそちらを取り上げます。

  • ①雇用する労働者の男女の賃金の額の差異(男女間賃金差異)

    ②雇用する管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(女性管理職比率)

なお、今回の改正は、下表のうち波線を引いた部分になります。

男女間賃金差異の公表

男女間賃金差異については、「雇用する全ての労働者に係る実績及び雇用管理区分ごとの実績」を公表しなければならないものとされています(省令19条2項)。

また、公表の際には、次の3つの区分による公表が必要です(「男女の賃金の額の差異の算出及び公表の方法について」厚生労働省雇用環境・均等局長、令和4年7月8日・(最終改正)令和8年2月18日、5頁)。

  • ①全労働者

    ②正規労働者

    ③非正規労働者

また、賃金と差異の意義については、次のように示されています(前掲資料、6頁)。

  • ●賃金=労働基準法(略)第11条に規定する「賃金」をいい、具体的には、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払う全てのものをいう

    ●差異=その雇用する男性労働者の賃金の平均に対するその雇用する女性労働者の賃金の平均を割合(パーセント)で示したものをいう

 

男女間賃金差異の公表については、厚生労働省が策定・公表している前掲資料に詳細が示されていますので、そちらの参照が必須になります。