2018/11/20
防災・危機管理ニュース

東京都は20日、江東区と合同で大規模テロ対処訓練を行った。警視庁や東京消防庁のほか、国から内閣官房、総務省消防庁、陸上自衛隊も参加。住民や企業関係者も協力し、参加者は349人。2020年東京オリンピック・パラリンピックのメディアセンターが置かれる東京ビッグサイト前では化学テロを想定した救助や除染の訓練が、そなエリア東京のある東京臨海広域防災公園や豊洲では爆発物処理や爆発予告による住民避難が行われた。

りんかい線・国際展示場駅とビッグサイトの間にあるイーストプロムナードでは、イベント開催時に化学物質が散布されるテロが行われた想定で訓練が行われた。防護服を身にまとった東京消防庁や警視庁の関係者が被害者救助を実施。車いす利用者へ配慮した運搬や、外国人にはイラストを用いたコミュニケーションボードも活用して活動した。関係機関による対策本部を現地に設置し、都から自衛隊に出動を要請。トリアージのうえ、東京消防庁が設置した特殊テントで、服や靴などを脱がせた被害者の除染をし、病院搬送の訓練も行った。化学物質をサリンと特定し、警視庁と陸上自衛隊で現場の除染も実施した。

同時に豊洲公園に爆発物が置かれた予告がされたという設定で、近隣住民による近くの学校への避難訓練も実施。避難先で安否確認や食料配布、健康相談の訓練も行われた。その後、東京臨海広域防災公園を豊洲公園に見立てて、警視庁が爆発物処理訓練を行った。不審なカバンの中をX線検査したうえで爆発物と判断。特別な重機である爆発物処理作業車でつかみ、冷却し安全に処理するための爆発物処理筒車の筒の中に入れた。
江東区にはビッグサイトのメディアセンターのほか、五輪では42会場中10会場が置かれる。講評で同区の山崎孝明区長は、「豊洲市場が開場したほか、約600日後に五輪が控え、江東区は世界中から注目されている。テロは人が集まる機会に狙われる」とし、普段からの心がけの重要性を説いた。都の小林茂・危機管理監は「化学と爆発物の2つ同時の設定に加え、化学では避難や除染、トリアージや搬送など数多くの対応が必要だったが、よく各機関の連携ができていた」と評価した。国からは総務省消防庁の大塚大輔・国民保護室長が「総務省消防庁では各機関の情報交換など現地調整について強化している」とし、今回の対策本部でのやりとりなどを評価。住民避難や避難場所確保などの重要性も語った。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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