第3回 アメリカ海洋大気庁のデータの喪失
保険と災害モデルに及ぼす影響
鈴木 英夫
慶應義塾大学経済学部卒業。民族系石油会社で、法務部門・ロンドン支店長代行・本社財務課長など(東京・ロンドン)。外資系製薬会社で広報室長・内部監査室長などを務め、危機管理広報・リスクマネジメントを担当(大阪)。現在は、GRC研究所代表・研究主幹、リスクマネジメント&コンプライアンス・コンサルタント(兵庫)。日本経営管理学会会員、危機管理システム研究学会会員。
2025/08/05
新 世界のリスクマネジメントの潮流
鈴木 英夫
慶應義塾大学経済学部卒業。民族系石油会社で、法務部門・ロンドン支店長代行・本社財務課長など(東京・ロンドン)。外資系製薬会社で広報室長・内部監査室長などを務め、危機管理広報・リスクマネジメントを担当(大阪)。現在は、GRC研究所代表・研究主幹、リスクマネジメント&コンプライアンス・コンサルタント(兵庫)。日本経営管理学会会員、危機管理システム研究学会会員。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)が最大19の嵐(最大5つの大型ハリケーンを含む)を予測している今年は、組織が最悪の事態に備えるために、データモデリングがこれまで以上に重要となる。実は重要なリソースが危険にさらされたり、完全に失われたりする可能性もあるのだ。
最近のアメリカ海洋大気庁(NOAA)への資金と人員削減を受け、NOAAと保険業界は、多くの人が長年頼りにしてきた気候・気象情報データベースの廃止の可能性に頭を悩ませており、保険会社・ブローカーそして災害モデル作成者にとって極めて重要な局面を迎えている。
この予算削減は、非常に微妙な時期に行われた。NOAAの最新の季節予測によると、2025年の大西洋ハリケーンシーズンは、平年より悪化する確率が60%だ。NOAAは今年、特定の嵐が13~19個発生すると予想しており、そのうち6~10個がハリケーンに、最大5個がカテゴリー3以上の強度に達する可能性があるとしている。
近年嵐の増加と、強力で急速に発達する低気圧が見られ、24時間以内に大型ハリケーンへと発展することも起きている。かつてはこうしたパターンを理解し、備えることを可能にしていたデータ(と予算)の削減は、まさに最もリスクの高い嵐のシーズンが目前に迫っているという状況、そしてより広い意味で、気候がより動的で予測困難になっているという状況の中で行われている。
この削減は、沿岸部やハリケーン発生地域への脅威を増大させるだけではない。内陸部の洪水・山火事・雹・凍結といった事象の頻度と深刻度が増している。NOAAのデータセットは、こうした変化を明らかにし、予測するのに役立ち、地域のゾーニング政策から全国的な再保険料率まで、あらゆるものを導き出してきたのだ。
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