2018/12/28
ニュープロダクツ

世界最大級の保険グループであるアクサグループ。そのアクサグループの中でアシスタンスビジネスを提供するアクサ・パートナーズの日本法人であるアクサ・アシスタンス・ジャパン株式会社では、日本商工会議所と提携して、会員中小企業向けに「商工会議所の海外危機対策プラン」を提供している。香港から来日したアクサ・パートナーズ・アジアCEOのジェローム・イッティ氏に話を聞いた。
アクサ・パートナーズがグローバルに提供するサービスは、大きく分けてアシスタンスサービスと、海外旅行保険や住宅ローンの団体信用生命保険など特別な目的に特化した保険であるスペシャライズドインシュランスの2種類がある。イッティ氏は「アジアに関して言うと、事業ドメインとしては『トラベル』と『ヘルスケア』の2つのエリアに注力している」と説明。トラベルに関しては、海外に出る旅行者の数が近年急速に伸びており、例えば中国では2020年には海外旅行者の数が年間2億人に達するという推計もあるが、日本に関しては「特に出張者・駐在者へのサポートに注力している」と現状を語った。
「世界中がどこも安全ではなくなってきている今、自国以外で何か事が起きた際にはどのような行動をすればよいのか、病気にり患した場合はどうするのかなど、個人での判断は難しい。また世界的なトレンドとして、『Duty of Care(安全配慮義務)』の必要性が増してきており、大企業のみならず、中小企業にとっても従業員に対して求められる安全配慮義務を果たすということは、企業経営においてもはや必要不可欠だと言える。安全配慮は義務としての側面だけではなく、安全配慮をしっかりと果たしている企業は、今後優秀な人材がより確保しやすくなっていくだろう」とイッティ氏は海外進出における企業の責任について語った。
「アクサ・パートナーズは、この安全配慮に対するトータルサポートを、グローバルでもローカルでも提供できるという点において、非常にユニークな存在であると自負している」とイッティ氏。3つの強みとして(1)世界中のネットワーク(2)実績と経験(3)デジタルケーパビリティを挙げた。
(1)は世界中に医療アシスタンスや有事の際のセキュリティアシスタンスを提供できるネットワークを有しているという点。(2)はこれまで数多くの非常に難しく複雑な医療搬送ケースや緊急を要するアシスタンスサービスを提供してきていること。近年の具体的な事例としては、2015年のネパールの大地震において、広範囲に被害が広がる中、アシスタンスサービスの提供に努め、お客様をサポートすることができた。(3)は顧客のニーズに合わせて、様々なデジタルツールやアプリを通じてサービスを提供。リアルタイムにどのような状況でどこにいるのかを把握できるソリューションを提供しているという。
大企業の場合、安全配慮に対する様々な対応を実装することができるが、中小企業にとっては活用できるサービスや購入できる契約料での選択肢がこれまで少なかった。アクサグループと長きにわたってパートナーシップを深めてきた日本商工会議所との協力で、「商工会議所の海外危機対策プラン」を開発。「中小企業にとって最適なサービスと価格設定を目指す一方で、そのサービスの品質自体は大企業向けのサービスと同等にすることを特に意識した」とイッティ氏は開発の経緯を振り返った。
イッティ氏はさらに「もし自分が中小企業の従業員で、会社がこのサービスに加入していると仮定すると、3つの大きな安心を感じるだろう」とし、(1)安心・安全に海外での仕事に邁進できる(2)その結果生産性高く働ける(3)自分の会社がしっかりと守ってくれているということに対して感謝の気持ちを感じ、より高いロイヤリティを会社に感じられるようになること-を挙げた。
イッティ氏は「既に多くの中小企業に加入していただき、大変好評を得ている。また日本商工会議所からも全面的なサポートをいただいている。引き続き、中小企業の経営者の皆様へ安全配慮の考え方を広めるとともに、幅広くこのサービスを広めていきたい」としたうえで、今後の日本企業のサポートについて「高齢化と生産性の向上」を挙げた。
「高齢化する経営者と共に社員をどのように健康面でサポートするかが、大きな社会的課題となっている。また高齢化が進む中でどのようにして生産性を高めていくかという点については、日本政府も早くから様々な取り組みを実施しており、その一つが近年の健康経営の推進につながっていると理解している」と分析するイッティ氏は「これらの課題を解決することは、アクサ・パートナーズのミッションにまさに合致している。『商工会議所の海外危機対策プラン』を通じてトラベルに対するサポートを提供開始し、次はヘルスケアのサポートを提供したいと考えている」と意気込む。
アクサ・パートナーズでは日本以外のアジア地域では既にヘルスケアサービスにおいて成功しているビジネスモデルを数多く有しており、それらのモデルから得た知見をもとに、海外進出する企業向けのサービスを軌道に乗せた後、企業の健康経営を根づかせていくためのサポートモデルを構築する方針。今後も企業と従業員の安全・安心を追求していく。
■「商工会議所の海外危機対策プラン」詳細
https://www.axa-assistance.co.jp/ja/lp_security_assistance_cci/
(了)
防災・危機管理関連の新製品ニュースリリースは以下のメールアドレスにお送りください。risk-t@shinkenpress.co.jp
リスク対策.com:斯波 祐介
- keyword
- アクサ
- 中小企業
- 海外リスク
- ジェローム・イッティ
ニュープロダクツの他の記事
おすすめ記事
-
津波による壊滅的被害から10年
宮城県名取市で、津波により工場が壊滅的な被害に遭いながらも、被災1週間後から事業を再開させた廃油リサイクル業者のオイルプラントナトリを訪ねた。同社は、東日本大震災の直前2011年1月にBCPを策定した。津波被害は想定していなかったものの、工場にいた武田洋一社長と星野豊常務の適切な指示により全員が即座に避難し、一人も犠牲者を出さなかった。震災から約1週間後には自社の復旧作業に取り掛かり、あらかじめ決めていたBCPに基づき優先業務を復旧させた。現在のBCPへの取り組みを星野常務に聞いた。
2021/01/21
-
台湾をめぐる米中の紛争リスクが高まる
米国のシンクタンクCouncil on Foreign Relations(CFR)は、2021年に世界中で潜在的な紛争が起こる可能性を予測する最新の報告書を公表した。報告書は、台湾問題における米国と中国の深刻な危機を、世界の潜在的な紛争の最高レベルとして初めて特定した。
2021/01/20
-
これからの国土づくり 「構想力」と「創意工夫」で
政府の復興構想会議のメンバーとして東北の被災地を訪ね、地域の再生や強靭な国土づくりに多くの提言を行った東京大学名誉教授の御厨貴氏は当時、これからの日本の行方を「戦後が終わり、災後が始まる」と表現しました。あれから10年、社会はどう変わったのか。いつか再び起こる巨大地震をめぐり、政治・行政システムや技術環境、市民の生活や仕事はどう進歩したのか。これまでを振り返ってもらいながら、現在の課題、今後の展望を語ってもらいました。
2021/01/14