首都高の交通量削減へ大ナタを振るう方針が明らかになった

東京都と東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会は6日、第4回交通輸送技術検討会を新宿区の都庁で開催した。渋滞が懸念される首都高速道路の交通量削減へ、大会中の値上げ、ナンバープレートによる規制、HOVレーンと呼ばれる複数人員乗車車両の専用レーン設置の3つが案として提示された。今後、シミュレーションなどを基にどの案を採用するか検討する。

都、内閣官房、組織委では時差出勤や大会期間を避けた物流利用といった混雑緩和に向けた取り組みを「2020TDM推進プロジェクト」として民間にも協力を呼びかけ。大会中の交通量全体を大会前の10%減とすることを目指している。しかし交通量全体が10%減となっても、移動の時間短縮を図る利用者もいることから、首都高の利用台数の減少は6%しか見込めないと試算。首都高の渋滞による損失時間は平日現況を100とした場合、交通量全体の10%減ができたとしても105、何も対策がなされなかった場合は188まで上昇することが見込まれている。

このため首都高についてはさらなる対策が必要と判断し、3つの案が提示された。料金は現在、普通車でETCを利用した場合の上限は1300円だが、混雑が見込まれる区間や時間帯にさらなる課金を行う。ナンバープレート規制は末尾が偶数なら偶数日、奇数なら奇数日のみで分けて通行を認めるといった例を提示。HOVレーンは相乗りを促し、通行する車の台数を抑制する効果がある。なお、物流車両には規制を適用しない方針。

都と組織委では今後、国土交通省と首都高の運営会社にシミュレーションを依頼。それもふまえて今後の方針を決める。複数の施策を組み合わせる可能性もあるという。値上げの場合は料金システムの変更が必要となるほか、ナンバープレート規制やHOVレーンでは通行が適正な車両かどうかを識別する方法といった課題もある。また、規制に対しドライバーの反発も予想される。

今年度末に第5回の検討会を開催し、2度目となる輸送運営計画案を作成される予定となっている。しかし、都と組織委は首都高の規制についての決定は未定としている。ナンバープレート規制と渋滞対策での値上げはこれまで国内で実績はなく、HOVレーンの導入も過去には仙台市などで例があるが、現時点では行われていないという。

また鉄道に関しては、インターネットで公開している大会中の混雑予測である「大会輸送度影響マップ」に駅構内の混雑具合を今月下旬に公表することが明らかになった。

■大会輸送影響度マップ
https://2020tdm.tokyo/map

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介