降灰の影響と避難を認識しておく
第11回:富士山噴火を考える

本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
2025/07/17
これだけは社員に伝えておきたいリスク対策
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
日本には111の活火山がありますが、その中でも、富士山や九州地方の桜島、阿蘇山などは有名です。特に富士山が噴火した場合は、その影響が首都圏に及ぶことが懸念されています。
国は2020年、宝永噴火(1707年)と同じ程度の大噴火が起きた場合は、東京の新宿あたりでも風向き次第で降灰が3センチ以上となる予測を公開しており、国民生活や社会経済活動等に大きな影響があることが明らかになっています。
都市活動を維持するための対策構築が急務となったこともあり、東京都は「大規模噴火降灰対応指針」(2023年12月)を発表しました。
地震や水害に比べると、富士山の噴火は危機感を共有しにくいというイメージがあるようですが、今回は、富士山噴火を考えます。
東京を取り巻く状況を踏まえて、指針は次のような対策をカバーしています。
1)都市機能や都民の生活を守るために、ハード・ソフトの両面から取り組むべき降灰対策を具体化することによって、日常生活や社会経済活動への影響を抑えます。
2)大都市における未曾有のリスクを回避するために、自助・共助の取り組みを推進します。
3)膨大な降灰が想定されており、またその範囲も東京都を越えて広範囲に及ぶことから、国への要望などもとりまとめます。
国の中央防災会議降灰ワーキンググループの報告書では、これまでの富士山噴火のうち、火砕物が主である噴火であり、また噴火・降灰の実績が判明している宝永噴火をもとに降灰シミュレーションを行っています。降灰シミュレーションの結果は次の通りですが、我々の想像以上のものとなっています。
ちなみに、富士山ハザードマップ検討委員会では、2004年6月の報告書において宝永噴火と同規模の噴火が発生した場合の降灰マップを作成しています。都内の降灰への影響も、前述の中央防災会議降灰ワーキンググループの予測と大きく変わりません。
これだけは社員に伝えておきたいリスク対策の他の記事
おすすめ記事
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/26
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方