写真を拡大 (出所)BCI / Horizon Scan Report 2019

BCMの専門家や実務者による非営利団体 BCI(注1)は、英国規格協会(BSI)と共同で、3月に「Horizon Scan Report 2019」を公開した。

Horizon Scanとは、中長期的に将来起こりえる変化や事象を、系統的な調査によって探し出そうとする手法である(注2)。BCIでは2011年から、主にBCI会員を対象として「Horizon Scan Survey」というアンケート調査を毎年実施しており、今回発表された2019年版は8回目の報告書ということになる。これらのうち 6回目と7回目も本連載で過去に紹介しているので(注3)、以前から本連載をお読みいただいている読者の方々は「またか」と思われたかも知れないが、このような調査は継続的に行われて変化が見えるようになるのが重要だと考えているため、本稿ではその第8回目の報告書を紹介する。

調査結果のうち、まず過去12カ月間に経験した最も重大な脅威は「IT・通信の途絶」(IT and telecom outage)、また今後12カ月間に最も懸念される脅威は「サイバー攻撃とデータ漏えい」(Cyber attack & data breach)であり、これらは過去4回にわたって不変である。しかしながら今回の報告書では分析のしかたが大きく変わり、様々な脅威が発生する可能性(もしくは頻度)と影響の大きさとの2軸によるマトリクスにまとめられている。

本稿のトップに掲載した画像は、今後12カ月の間に発生しそうな脅威の評価結果をまとめたものであり、設問として用意された19種類の脅威を、横軸にそれらが発生する可能性の高さ(Likelihood)、縦軸にそれらが発生した場合の影響の大きさ(Impact)をとって整理されている。「サイバー攻撃とデータ漏えい」が発生する可能性と影響の大きさがいずれも大きく、図の最も右上にプロットされている。