2016/04/28
スーパー豪雨にどう備える?
連携できずに庁舎の機能不能
最後の課題として連携を挙げておきたい。
市の庁舎が浸水した理由は、そもそも浸水が予想される場所に建設されたことが問題なことは先に書いた通りだが、市庁舎がある水海道地域を浸水させた水は、鬼怒川の水ではなく、鬼怒川と小貝川の間を流れる八間堀川の水だったという指摘がある。
八間堀川は県の管理河川で、下妻市から常総市に流れる。常総市の南部で分岐して、それぞれ鬼怒川、小貝川と合流する。分岐点には小貝川への流れをせき止める水門があるが、10日は開いたままで両方に水が流れ込んでいた。しかし、鬼怒川と小貝川の水位が上がり、八間堀川への逆流を防ぐため、それぞれの合流点にある水門は閉じられた。八間堀川の水量を減らすため、ポンプで鬼怒川に排水していたが、鬼怒川が満杯状態になり、午後1時に排水も中断された。これらの対応により、逆流や鬼怒川のさらなる決壊は防げたかもしれないが、八間堀川は出口をふさがれた形になり、水の行き場がなくなり水海道市内に流れ出たのだという。鬼怒川との合流点にある排水ポンプ場が約9時間半にわたり止められたことは発表資料から確認できる。
いずれにしても、浸水により、市庁舎は1階が水没。受電施設や非常用発電機は1階にあり、すべての電気、コンピュータ類が使えなくなった。さらにNTTの基地局も水没し、携帯電話も通じにくい状況に陥った。
各施設の管理者は、鬼怒川側の水門などが国土交通省、小貝川側の水門が常総市、分岐点の水門が下妻市に事務所がある江連八間土地改良区となっている。水門を止めるオペレーションが本当に必要だったのなら、このことはあらかじめタイムライン上で各組織が共有しておくべきだったろう。
常総市には防災や危機管理の専門知識を持つ防災専門監がいない。それならば、なおさらのこと平時からの国や県との連携が必要になる。市では、第三者委員会を設置し、今回の豪雨への対応を検証する予定だが、常総市だけの問題として終わらせるのではなく、全国の自治体が今回の教訓を生かして防災に取り組んでいく必要があろう。
スーパー豪雨にどう備える?の他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/15
-
-
-
-
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
-
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/09/07
-
-
-
暗黙知を形式知へ、10年の徹底改善が生きた
熊本市の工務店・新産住拓株式会社(小山英文社長)は、2016年の熊本地震や近年相次ぐ豪雨災害を通じて災害対応を磨き上げてきた。発生当日は、約3割の社員が定休日で社長も不在という条件下にもかかわらず、地震発生から50分で社員の安否確認をおおむね完了し、2時間後にはホームページや顧客専用サイトで被害受付を開始した。
2026/08/24





※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方