2016/05/24
誌面情報 vol55
熊本地震では震度7が観測史上初めて連発したことに加え、内陸型地震としては最多ペースで余震回数を更新するなど、再び「想定外」という言葉が繰り返し使われる事態となった。専門家の立場から見た想定外は何だったのか?国立研究開発法人産業技術総合研究所活断層・火山研究部門招聘研究員で静岡大学防災総合センター客員教授の石川有三氏に解説いただいた。
2016年4月16日01時25分にマグニチュード(M)7.3の地震が起きてしました。この地震では韓国でも釜山や済州島で有感でしたが、関東地方を含め一部は山形県まで非常に広範囲に有感になりました。震源断層は、活断層として知られていた布ふ田た川がわ断層に沿った右横ズレ型断層(※1)で、長さが約27㎞、幅が約12㎞(北西側へ約60度で傾斜)、東は阿蘇山の裾野にまで達するものでした。この地震で益城町と西原村で震度階級の最大震度7が観測されました。益城町では2日前にも震度7を観測しており(これは前震のうち最大のものによる)、連続して震度7が同じ地点で観測されたのは史上初めてです。そして、その後も活発な余震活動が続いています。図1に本震と最大前震の震源断層、および2つの地表活断層線、主な火山の分布などを示しました。
一般的に大きな地震は、本震が突然起こり、その後に多数の余震が続いて起きます。こういう場合、その地震活動を本震・余震型と呼びます。しかし、今回は本震が起きる約28時間前の4月14日21時26分にM6.5の地震が起き、それから活発な地震活動が始まりました。この活動は、日奈久断層という活断層に沿って起こり震度7を益城町で観測しています。このように大きな地震の前にそれより小さな地震が起きる場合、それらは前震と呼ばれます。ですから今回の地震活動は、前震・本震・余震型となります。この前震を捕らえて将来の大地震を予測できる場合もあります。1975年2月に、中国遼寧省の遼東半島のつけね付近で発生した海城地震では、前震活動などを利用してM7.3の本震が起きる前に行政当局が住民を事前避難させ、被害を激減させた例が報告されています。何しろこのときの前震の回数が、前年1年間に起きた回数の2倍近いという異常な多さでした。しかし、翌年に河北省東部で発生したM7.8唐山地震では、予知を行うことはできず24万人以上の犠牲者を出しています。このときは前震は起きていません。
誌面情報 vol55の他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/08/04
-
-
-
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
-
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29
-
-
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
-
-
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方