共通の組織資本の作成が災害対応を加速させる

これまでご紹介した事例においては、失われたデータをサーバからサルベージ(復旧)したり、町に一時立ち入りの際に避難前に設置しておいたバックアップデータを持ち出したり、職員が避難前にCSVに吐き出してきたりと、さまざまな方法で組織資本が復活を遂げていきました。このデータを基に、別の自治体からの応援職員を含めた自治体職員が避難所における安否確認業務や窓口業務を開始していきました。その後、各現場では、紙や、それぞれ使い慣れたシステムを使って避難者名簿や窓口での対応記録などが作成されていったのです。結果、バラバラの形式の名簿がたくさん生まれ、後々の統合作業が大変になりました。

さらに、大槌町の事例では、住民基本台帳ネットワークシステムの復旧において、高いセキュリティーがハードルになったことをご紹介しました。大槌町長選挙実行に必要な選挙人名簿作成のために早急な復旧が求められていましたが、住基ネットにある震災後の人の異動データがなかなか取得できなかったのです。

データの存在と、そのデータをどのように取り扱うかが、その後の復旧プロセスを左右します。

共通の組織資本作成のルール

前回、データの取り扱いには組織内で共通のルールを設けるべきと述べましたが、このようなルールは明文化、あるいはマニュアル化して、セキュリティーを強化しながらも誰でも使える形で保管しておくことが重要だと思います。その上で、災害対応に関わる多様なステークホルダー間における共通の組織資本を作成することができれば、柔軟な災害対応が可能となります。共通の組織資本を作る際には、何か“指針”のようなものがあると良いはずです。

ここでは、“指針”の方向性を示す考え方として、4つのUから始まる単語を紹介したいと思います。Universality(汎用性)、Ubiquity(遍在性)、Uniqueness(唯一性)、Unison(一貫性)です(表)。

表:4つのU**