2019/06/20
防災・危機管理ニュース
![](https://risk.ismcdn.jp/mwimgs/3/d/670m/img_3dbe91270781c84ff282943c62476069159509.jpg)
新潟県弁護士会の齋藤裕会長は19日、18日の山形県沖を震源とする地震を受け、公営住宅における家具固定に関する談話を発表した。家具固定のために生じるねじ穴などの原状回復を求めないことを地方自治体に要望する内容となっている。
齋藤会長は13日にも家具固定に関する声明を同弁護士会のホームページに掲載したばかりだった。その内容は近年の災害において、けがの発生原因の多くが家具類の転倒や落下、移動だと指摘(2004年の新潟中越地震41.2パーセント、2007年の新潟中越沖地震40.7パーセントなど)。国土交通省の賃貸住宅の原状回復のガイドラインによると、固定のためのねじ穴などは賃借人の原状回復義務の対象となっているほか、新潟県の自治体として新潟市や長岡市も対象から除外していないことについて説明した。一方で東京都港区が2017年4月に区営住宅において原状回復義務の対象外としたことにも触れている。
齋藤会長は日本弁護士連合会(日弁連)の災害対策委員会副委員長を務めたことがあるほか、新潟中越地震、新潟中越沖地震や2011年の東日本大震災でも被災地で相談対応にあたった。固定のためのねじ穴などについて、国交省ガイドラインで原状回復義務の除外となっているエアコン同様に、通常の住まい方から発生するものとして取り扱い、地震のための安全対策ができるよう求めている。
■声明・談話はこちら
https://www.niigata-bengo.or.jp/%E4%BB%A4%E5%92%8C%E5%85%83%E5%B9%B4%EF%BC%96%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%98%E6%97%A5%E5%B1%B1%E5%BD%A2%E7%9C%8C%E6%B2%96%E5%9C%B0%E9%9C%87%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BC%9A%E9%95%B7%E8%AB%87/(令和元年6月18日山形県沖地震に関する会長談話)
https://www.niigata-bengo.or.jp/%E5%8E%9F%E7%8A%B6%E5%9B%9E%E5%BE%A9%E7%BE%A9%E5%8B%99%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%97%E3%80%81%E5%85%AC%E5%96%B6%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%AE%B6%E5%85%B7/(原状回復義務に関し、公営住宅などにおける家具固定の普及策を求める会長声明)
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方