2019/06/20
防災・危機管理ニュース
新潟県弁護士会の齋藤裕会長は19日、18日の山形県沖を震源とする地震を受け、公営住宅における家具固定に関する談話を発表した。家具固定のために生じるねじ穴などの原状回復を求めないことを地方自治体に要望する内容となっている。
齋藤会長は13日にも家具固定に関する声明を同弁護士会のホームページに掲載したばかりだった。その内容は近年の災害において、けがの発生原因の多くが家具類の転倒や落下、移動だと指摘(2004年の新潟中越地震41.2パーセント、2007年の新潟中越沖地震40.7パーセントなど)。国土交通省の賃貸住宅の原状回復のガイドラインによると、固定のためのねじ穴などは賃借人の原状回復義務の対象となっているほか、新潟県の自治体として新潟市や長岡市も対象から除外していないことについて説明した。一方で東京都港区が2017年4月に区営住宅において原状回復義務の対象外としたことにも触れている。
齋藤会長は日本弁護士連合会(日弁連)の災害対策委員会副委員長を務めたことがあるほか、新潟中越地震、新潟中越沖地震や2011年の東日本大震災でも被災地で相談対応にあたった。固定のためのねじ穴などについて、国交省ガイドラインで原状回復義務の除外となっているエアコン同様に、通常の住まい方から発生するものとして取り扱い、地震のための安全対策ができるよう求めている。
■声明・談話はこちら
https://www.niigata-bengo.or.jp/%E4%BB%A4%E5%92%8C%E5%85%83%E5%B9%B4%EF%BC%96%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%98%E6%97%A5%E5%B1%B1%E5%BD%A2%E7%9C%8C%E6%B2%96%E5%9C%B0%E9%9C%87%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BC%9A%E9%95%B7%E8%AB%87/(令和元年6月18日山形県沖地震に関する会長談話)
https://www.niigata-bengo.or.jp/%E5%8E%9F%E7%8A%B6%E5%9B%9E%E5%BE%A9%E7%BE%A9%E5%8B%99%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%97%E3%80%81%E5%85%AC%E5%96%B6%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%AE%B6%E5%85%B7/(原状回復義務に関し、公営住宅などにおける家具固定の普及策を求める会長声明)
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/12/05
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方