2016/06/07
【6月第1特集】 熊本地震の検証 6人の専門家に聞く“教訓をどう生かす?”
戦略的な被災企業の支援へ
課題の解決に向けて
RESASの活用
これらの課題のうち、①企業・産業活動の商流が静的情報の把握にとどまったことについては、RESAS(政府が各自治体に提供している地域経済分析システム)を用いることで、ある程度の域内商流の概要を把握したり、中小規模の事故・災害発生時のインパクトが把握しやすくなるはずだ。

RESASは、内閣官房と経済産業省が地域経済活性化を目的に、2015年4月から提供を開始したシステムだ。企業間取引や人の流れ、人口動態などのビッグデータが可視化でき、産業・企業別の情報照会・分析機能を使うと、地域のどの産業がどの他地域との結びつきが強いかを、販売・仕入れ情報に基づいて分析することができる。このため、複数自治体間での政策連携に使うこともできる。使用している情報は、企業信用調査大手の帝国データバンク「企業間取引情報」に基づく。
また、個別企業分析機能を使うと、地域内企業と地域内外の取引企業との関係(販売・仕入れ)を分析することもできる。さらに、地域内企業群から下記の要素で抽出して、地域経済を支える「地域中核企業」を特定し、行政として個々の企業別に支援したり、具体的な産業政策を立案したりできるようになる。
◇ コネクターハブ企業:地域の中でも取引が集中し(ハブ機能)、地域外とも取引をしている(コネクター機能)企業
◇ 雇用貢献型企業:雇用創出・維持を通じて地域経済に貢献している企業
◇ 利益貢献型企業:利益・納税
企業間取引のデータは本社ベースのため、実際の商流やロジスティクスとは異なる部分もあるが、RESAS以外の情報源と推測を併せることでおおよその状況を把握することが可能となる。
RESASを使って事前に地域中核企業群を特定しておけば、地域経済に影響度が大きい企業群には、早期に企業防災やBCMへの取り組みを促すなどの展開も可能になる。さらに、地方自治体は、大規模災害発生時に、災害対策本部で地域中核企業群の被災状況を確認し、その地域雇用や経済に対するインパクトを分析することで、首長の判断で特定企業の復旧を緊急支援できる。
過去の新潟県中越沖地震などの大規模災害では、特定企業(地域外に利害関係者がいる上場企業の場合もある)に対するインフラの優先復旧や緊急車両指定証の配布といった緊急支援を、住民対応と並行して、または住民対応を一部延期して実施した事例が存在する。
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