株式会社東京商工リサーチは8日、5月度全国企業倒産状況を発表した。
5月度の全国企業倒産件数は671件で、3カ月連続で前年同月を下回った。1-5月の累計件数は3,510件で、7年連続で前年同期を下回ることがほぼ確実だ。
熊本市の建築資材販売会社が熊本地震の直後から受注が激減、事業継続を断念する初のケースが発生しており、先行きの見通しが立たず事業継続を諦める企業が出てくることが懸念されている。

2016年5月の全国企業倒産671件

5月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、負債総額は1,158億5,200万円。倒産件数は、前年同月比7.3%減(53件減)で3カ月連続で前年同月を下回った。5月としては1990年(501件)以来、26年ぶりに700件を割り込んだ。金融機関が中小企業のリスケ要請等に柔軟に応じていることや、大手企業を中心とした業績拡大による景気の底上げなども影響して、依然として低水準な推移が続いている。
負債総額は、前年同月比9.3%減(119億300万円減)で3カ月連続で前年同月を下回り、5月としては過去20年間で最小規模にとどまった。負債1億円未満が486件(構成比72.4%)と全体の7割を占めるなど、小規模な倒産が多い状況に変化がない。

 

地区別では、東北が今年最多で2カ月連続で前年同月の件数を上回った。5月の地区別件数は、9地区のうち5地区で前年同月を下回った。
こうしたなか、東北が今年最多の35件(前年同月比25.0%増)で2カ月連続で前年同月を上回った。東北の産業別では、飲食料品などの製造業(3→9件)やサービス業他(6→8件)で件数を押し上げた。県別では、原発事故の賠償金などを下支えに倒産が抑制されてきた福島(3→10件)が2011年5月(13件)以来、5年ぶりに2ケタの件数が発生した。
このほか、中国33件(同10.0%増)が5カ月ぶり、北海道18件(同12.5%増)が3カ月ぶりに前年同月を上回った。一方、九州は48件(前年同月比14.2%減)で6カ月連続の減少。近畿147件(同20.5%減)と関東263件(同5.7%減)は、それぞれ3カ月連続で前年同月を下回った。北陸は16件(同11.1%減)で6カ月ぶり、四国が13件(同7.1%減)で2カ月ぶりに前年同月より減少した。中部は前年同月同数の98件だった。