2019/07/26
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
子どもは水害被災地にいるべきでない
では、子どもたちもボランティアと同程度の装備をして、清掃活動すればよかったのでしょうか?
この問題について、過去にも登場していただいた佐久総合病院佐久医療センター・小児科医長「教えてドクター」プロジェクトチーム長の坂本昌彦先生が下記のツイートをされています。
「水害後に子どもも皆で川の掃除」が美談で取り上げられてますが、避けてほしいです。水害後は多くの有害物質が散乱しています。毒性に感受性の高い小児は,堤防などの掃除には関わるべきではありません。目を離した隙に溺水のリスクも。米国小児科学会も声明を出しています。https://t.co/sCuDuzrPih
— 教えてドクター佐久@無料アプリ配信中♪ (@oshietedoctor) 2019年7月9日
ツイートに出てくる米国小児科学会はどのように述べているのでしょうか?
タイトルは、「洪水やハリケーンの影響を受けた地域への子どもの帰還に関する臨床医の勧告」とあります。
ここでは、子どもたちは大人に比べて毒性への感受性が高いことや、成人だったら避けようとする物質に直接触ってしまう行動をとりがちな事が挙げられていて、小さな子どもはもちろん、できれば10代のうちは清掃活動に参加すべきではないことが書かれています。
(中略)
Areas not-cleaned should be inaccessible to children.
清掃に参加すべきではないとはっきり書かれていることも印象的ですが、他の箇所で、清掃されていないエリアには子どもは近づくべきではないとしたり、結論として、子どもたちは、地域の清掃が終わってから被災地に戻る最後のグループであるべきだと提言しています。
その他にも汚染された水の感染症例として、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌、およびA型肝炎ウイルスの危険について書かれていたり、意図せずに化学肥料、農薬、および工業用化学物質が拡散することによって発生するリスクについても触れられています。子ども向けの対策というだけでなく大人も参考になりますね。
化学物質の災害時のリスクについては、1998年、希釈されて被害はなかったものの高知県の国分川の氾濫の際にメッキ工場の青酸カリが流れたケースや、2005年長野県岡谷市土石流災害で、農薬のびんが土砂に埋まり行政が立ち入り禁止としたケースがあります。
「リスク対策.com」にも水害後の記事を書かれている長岡技術科学大学准教授・木村悟隆先生にこの件についてご意見をおうかがいしたところ
と、コメントされています。
また、以前も書きましたが、災害後はアスベストの飛散も問題になります。
■あなたの家や学校にも?災害時に顕在化するアスベストについて知っておこう!
https://www.risktaisaku.com/articles/-/2587
大人でもボランティアの際の厳重な装備や、リスク回避が必要とされています。子どもたちに、普段の美化活動と同じイメージで水害後に掃除させるのは、危険です。
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