2019/08/02
日本企業が失敗する新チャイナ・リスク
■ 新総経理が赴任し最初に面倒を見てくれた優しい女性
今回の主人公であるA女史は、既婚であり勤務年数は10年、当該の企業の発足後まもなく就職したメンバーの一人でした。
東北部出身の彼女は、背も高くスマート、そして落ち着きのあるかわいい顔立ちの女性であり、日本語専攻だったため日本語会話も不自由なくこなすことから、日本人責任者の専属の通訳として活躍していました。所属は総務部、いろいろな日本人スタッフの日常の雑用も彼女が通訳としてお手伝いする役割を担っていました。
日本から出張で訪ねてくる日本本社幹部との対応も抜かりなく、日本人からは大変評判の良いスタッフとしていつの間にかなくてはならない存在となっていたのでした。
また、日本人駐在員たちは彼女がそばにいてくれるとさまざまな場面で楽なことから、平日だけではなく休日などにも買い物やアパートのさまざまな申請などに付き合ってもらっていました。実は彼女、入社後すぐに結婚し子どもにも恵まれており夫婦仲も良いことから、駐在員たちも安心して彼女のサポートを受けることができたことも幸いしました。
そして、日本人駐在員たちは外国人である自分たちに親身になって丁寧に対応してくれる彼女には心を開くようになり、いろいろな個人的な相談も持ちかけるようになっていきました。至極当然の流れであり、これ自体は問題のないことでしょうし、中国でビジネスを行う日本人にとっては誠にありがたいことです。同じ漢字文化圏であることから、事情も通じやすいという面もあります。
ところが、本来ならば総経理として、もしくは工場長として、一社員に漏らしてはいけないような社内の事情を知らず知らずのうちに話してしまうようなことも出てくるのです。これがよくありませんでした。A女史はこの時点で、社内で最も日本人のことを知っている対日本人スペシャリストとなっていたのでした。
そして、このことが彼女をいわゆる「お局様」的立ち位置に立たせる原因となってしまっていたのです。これにより彼女は日本人駐在員に関しては、社内の他の誰よりも発言権を持つようになり、上司である日本人たちも無条件に彼女の意見には従うようになっていったのです。
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