ヘルパンギーナは口の中に症状が出る(出典:Shutterstock)

II.ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナも手足口病と同じく、夏に主に小児の間ではやる感染症です。90パーセント以上は5歳以下の小児に発症しますが、大人もかかることがあり、大人の方が症状は強く出ることが多いと言われています。原因は主にエンテロウイルス属であるコクサッキーA群ウイルスです。

1.ヘルパンギーナの特徴

症状
2〜4日の潜伏期を経て突然高熱が出て、引き続いて咽頭痛があり、口腔内、とくに軟口蓋から口蓋弓の部分に周囲が赤く中央が水疱性の1~5ミリ程度の発疹が現れます。この小水疱はやがて破れ、痛みを伴います。疼痛(とうつう)のために哺乳や食事ができず、脱水になることがあるので注意が必要です。熱は2〜4日で下がります。高熱が出るため、解熱剤が必要なことがあります。合併症はまれですが、無菌性髄膜炎や急性心筋炎の報告があります。 

感染経路
飛沫感染の他に、水疱の内容物や便から排泄されたウイルスに接触することにより、感染します(接触感染、糞口感染)。

2.予防

手洗い、咳エチケットの順守が一番の予防です。口(呼吸器)から1〜2週間、便から2〜4週間にわたってウイルスが排出されるので、よだれやおむつ替えのときにも注意が必要です。ワクチンはありません。

3.感染した場合の対策・治療

特別な治療薬はありません。口内炎の疼痛が強いときや高熱が出たときは解熱鎮痛剤を使用することもあります。口の痛みのため、飲食ができずに脱水となることがあるため、刺激のあるものは避けて、喉越しの良いものを摂取するようにします。

手足口病と同じく、ウイルスの排出は症状が治まってからも続くので、急性期のみの登校登園禁止が厳密な意味で流行の抑制にならないため、学校保健法による出席停止の扱いにはなっていません。欠席者が多くなり、授業に支障が出る場合などは、学校長が学校医と相談して第3種学校伝染病として扱いをすることもあるとされています。なお、第3種学校伝染病の出席停止については、「伝染の恐れがないと医師が認めるまで出席停止にすることもある。」ということにはなっています。

(了)