2016/07/25
誌面情報 vol56
効率的な安否確認で業務に集中

サイバーセキュリティ分野の先駆者として大手企業や行政機関を支え、現在は業界をリードする株式会社ラックが安否確認体制を刷新した。安全・安心を軸に精査し選んだのがサイボウズスタートアップスの安否確認サービスだ。
株式会社ラックは1995 年に国内企業の先駆けとして情報セキュリティサービスの提供を開始し、セキュリティ監視センター「JSOC」をはじめ、緊急対応からコンサルティング、診断、監視・運用に至るまで一貫したセキュリティソリューションサービスを提供する一方で、メガバンクをはじめとした金融機関の業務を支えるIT 基盤システムの開発と運用に強みを持つシステムインテグレーションサービスを長年担ってきた。シンプルに表現すれば「高い信頼性」を武器に成長してきた企業だ。特にIT 企業の中でもサイバーセキュリティを強みとするラックが、災害時の安否確認のために選んだのが、サイボウズスタートアップスの安否確認サービスだ。
安否確認を刷新した理由を、同社総務人事部総務サービス室長の向山暢彦氏は「安否確認を効率化し、迅速に業務復旧等の災害対応にエネルギーを注げる体制を整えた。また東日本大震災の経験から従業員の家族も含めた安否確認をすることも従業員が落ち着いて復旧業務に専念するために必要なことであると考えた」と説明する。安否確認で費やす労力と時間を、より重要な対応施策とアクションに振り向けるためだ。ユーザーインターフェースについて「ユーザーにとって必要な要素が表示項目に文字ですべて表現されているので一目で分かりやすく、管理者にとっても全社、あるいは個別部門毎の集計画面も確認しやすい」と使いやすさを話す。スマートフォンのアプリも同様で、ほとんどの従業員がダウンロードして利用している。
このサービスの採用の経緯についてリスクマネジメント部担当部長の川名正幸氏は「Web サイトでサービス内容を詳しく公開していたので、機能を理解しやすく、事前に疑問点も明確になり、直接説明を聞く際には具体的な相談ができた」と評価する。比較した11 社のサービスの中から、個人情報に考慮したメールとスマートフォンアプリによるシンプルなやり取りや、プライバシーに配慮した家族との連絡機能、ファイル添付も可能なメンバー限定の掲示板機能などを高く評価し、最終的にはコストとのバランスからサイボウズスタートアップスの安否確認サービスを選択した。
同社では多くの従業員が、本社をはじめ都内近郊の金融機関などの顧客先でシステム構築を担当している。執行役員の鎌田寿雄氏は、安否確認サービス導入の際に想定していたのは地震などの自然災害だけではなく、テロなどの事件・事故への遭遇も念頭にあったという。「さまざまなリスクに対処しなければならない社会情勢の中で、このような安否確認サービスが非常に有効」と鎌田氏は語る。
ラックでは事業の根幹となる「安全・安心」というセキュリティの観点と使いやすさを精査したうえで採用を決めた。今後、グループ会社でも導入を進める予定だという。
(了)
誌面情報 vol56の他の記事
おすすめ記事
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方