2016/08/05
事例から学ぶ

4月14日の「前震」では、発生後1時間程度でほぼ全社員が会社に集まり、顧客の安否確認にあたったというアネシス(熊本市東区)。九州は台風の上陸が多く、住宅の被害も多く発生することから、同社では10数年前から災害対応マニュアルを作るなど対策に力を入れてきた。
社員約100人の中小企業だが、災害の発生時には災害対策室を立ち上げることが決められている。「住宅被害が発生しそうなレベル」というのが設置の基準だ。

一戸紀見華氏(右)
災害対策室のメンバーは15人。社長や役員がいなくても迅速に対応にあたれるよう、予算を含め、ほぼすべての権限が災害対策室長となる前田優課長に与えられている。「もちろんその都度、社長と相談しますが、基本的には災害対応にかかる判断はすべて任されています」(前田氏)。
平時の業務と調整しながら災害対応にあたれるよう、対策室長および副室長の下に、各事業部長でつくる執行部を介して、情報班、指示班、緊急班、訪問班、積算班を置く。
災害発生時には、災害対策室が立ち上がるだけでなく、子供がいる母親などを除いて、全員が会社に集まるというのが同社のルール。14日夜に発生した熊本地震の前震でも、ほぼ全員が集まった。「参集の基準を明確に決めているわけではありませんが、毎年のように大きな台風が来るので、社員の心の準備もできていたのでしょう」(前田氏)。
緊急連絡は日常的にメールやLINE(ライン)を使っている。社員の安否を確認しながら、並行して約2100件にのぼる既存顧客(住宅オーナー)すべてに電話かけを実施した。
「お客様がご無事かどうかを確認するのが基本。翌日以降でも不具合があれば、遠慮なく連絡してほしいということを伝えました」と前田氏は説明する。
事例から学ぶの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年5月30日配信アーカイブ】
【5月30日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:高年齢労働者のリスク
2023/05/30
-
もうAI脅威論を唱えている段階ではない
インターネット上の大量のデータを組み合わせて新しいデータを生成するAIが脚光を浴びています。一般企業においても経営改革の切り札としてAI技術への関心が急拡大。一方で未知なる脅威が指摘され、リスクや倫理の観点から使用を規制する動きも。AIの未来は明るいのか。東京大学次世代知能科学研究センターの松原仁教授に聞きました。
2023/05/28
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年5月23日配信アーカイブ】
【5月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:化学物質災害・事故対応に役立つ情報基盤サイト
2023/05/23
-
重要リスクの理解深めるファシリテーション
重電機メーカーの明電舎は2016 年度から、全社的リスクマネジメント活動を開始。3ラインモデルと呼ばれる機能分担手法とCSAと呼ばれるリスク分析・評価手法を用いて体制を整備し、一般社員や管理職のファシリテーションを充実して重要リスクの把握、共有に務めながら活動への理解を深めています。同社の取り組みを紹介します。
2023/05/18
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年5月16日配信アーカイブ】
【5月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:AIを使ったBCP教育・訓練
2023/05/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方