2016/09/02
防災・危機管理ニュース
国立研究開発法人防災科学技術研究所(本所:茨城県つくば市)は8月31日、日本全国で過去約1600年間に起きた自然災害事例をWeb地図上に表示する「災害年表マップ」を公開したと発表した。

被害が発生した自然災害の事例を、発生年ごとに市区町村単位でWeb地図上に表示する。地方単位、県単位、災害種単位で情報を絞り込み、閲覧することも可能だ。災害規模など事例の詳細は、添付の「事例カルテ」で閲覧できる。使用したデータは、Web技術者向けにAPI配信も行っている。
元となるデータには、同所で整備を進めている「災害事例データベース」を使用。市区町村が発行する地域防災計画から過去の災害事例を収録したのもで、地震災害、火山災害、風水害、斜面災害、雪氷災害を対象としている。収録期間は416~2013年で、約5万レコードが収録されている。このデータベース本体の公開は、28年度末を予定している。

1959年は伊勢湾台風が発生し、台風の被害を収録した市区町村が愛知県を中心に分布している。
これまで、過去の災害事例は個別の災害や種別ごとに資料が作成され、記載方法が一律ではないまま地域防災計画に収録されるなど収録状況が分散していて、見ることが難しい状態だった。日本全国の市区町村の災害事例を統一した基準で整備したことにより、どの地域の災害でも、簡単に事例が引き出せるようになった。地域の自然災害事例を知り、災害が他人ごとでなく、今後起こりうる事として備えるきっかけになることを期待するという。
■災害年表マップ
http://dil-db.bosai.go.jp/saigai/
(了)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/17
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方