2019/10/18
危機発生時における広報の鉄則
ガバナンスコードに明記
ようやく2015年、東証と金融庁がとりまとめた「コーポレートガバナンスコード」では、下記のようにトレーニングの必要性が明記されました。
【原則4-14.取締役・監査役のトレーニング】 新任者をはじめとする取締役・監査役は、上場会社の重要な統治機関の一翼を担う者として期待される役割・責務を適切に果たすため、その役割・責務に係る理解を深めるとともに、必要な知識の習得や適切な更新等の研鑽に努めるべきである。このため、上場会社は、個々の取締役・監査役に適合したトレーニングの機会の提供・斡旋やその費用の支援を行うべきであり、取締役会は、こうした対応が適切にとられているか否かを確認すべきである。
メディアトレーニングを受けろとまでは書いてありませんが、重要な統治機関の一翼を担うものとして期待される役割・責任を適切に果たせるように必要な知識の習得をしろというのですから、広報対応も含まれると私は考えます。
自分を客観視する訓練
メディアトレーニングは広報PR会社がサービスとして提供しています。内容は会社によってさまざまですが、動画撮影してレビューするという形式はどこも取り入れているでしょう。
なぜ、ビデオレビューをするのかというと、自分を客観的に見るためです。「自分はこう思われたいのに、ビデオの自分はそうではない」「きちんと向き合いたいのに目線は浮ついている」「下ばかり見えていて自信がなさそう」「嘘ついているように見える」「記者の質問に誘導されている」「苦笑いして誤魔化しているようにみえる」「声がこもって聞きとりにくい」など、多くの場合、自分の姿の悪いところばかりに目がいき、最後まで見られない、見たくない、と目を背けます。
しかし、どんな方にも魅力はあります。まずは自分の魅力を発見してから、誤解を招く癖を直していけばいいのです。
失言する人は、本音で語る魅力的な人であるのに誤解されてしまいがちですが、言い換える訓練や語彙力を高めることで確実に改善していきます。また、癖を直すのは時間が多少かかりますが、服装ならすぐに変えることができますから、きちんと感のある着こなしから挑戦する方法もあります。見た目成果がでるため自信につながります。人前で話す機会が増える役員の方々にはぜひ楽しんで受けていただきたい訓練です。

(了)
- keyword
- 危機管理
- 広報
- クライシスコミュニケーション
- リスクマネジメント
危機発生時における広報の鉄則の他の記事
おすすめ記事
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方