2016/11/25
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
夜に寝る時もちゃんと防寒ができていたら、外が雪でもスムーズに避難できます。それだけでなく暖房代が節約でき、夜中にトイレに行った際のヒートショック対策にもなりますね!
具体的にどうすればよいかというと、成人は睡眠時コップ一杯の汗をかくと言われていますので、水をコントロールできるインナーを普段と同じように着用する事がおすすめです。
防寒のためにはインナーはぴったりしているほうが、空気が動かないので寒くありません。もしゆったりにしたい方でも、ハイネックのインナーにして首を温めてみてください。首のつく部分は血流が多いので、温めると効果を感じやすいです。
その上に薄めのダウンを着て寝ると、軽く、空気を蓄えて夜中に起きても寒くないです!夜中に授乳が必要な場合も前がファスナーではなく、ボタンだとより寒くないので、お試しを♪
さて、ここまでは冬山に行く人でなくても、やっている方はいるかもしれません。でも冬にテント泊をする人は、ボトムも同じ格好をするのです!まるで見た目はゴーストバスターズのマシュマロマンとか、ミシュランタイヤのビバンダムみたいに、もっこもこ(笑)!
だけど、さすがの自然界で熱伝導率が最も低い動かない空気!あまりにも暖かくて、こたつに入ったら出られなくなるように、この格好以外できなくなってしまいます。宅配が来たら、そのまま出るにはマシュマロマンだしちょっと・・という状態になるのが困りものの暖かさです。
と、上下とも保水しないインナーとダウンをパジャマにしていれば、避難の時にそれだけでかなり暖かい状態です。あとは上着に透湿防水素材のアウターをはおれば、雨でも雪でも風が強くても寒くないので心強いです。
「大きめビニール袋の1ヶ所を破って、顔を出し、体ごとすっぽり入って防寒に」「新聞紙をまるめて服の中に入れると暖かい」「雨の時には、ビニールをかぶって簡易レインポンチョに」
などいろいろなアイデアが紹介されたりしますが、これらはすべて水と風と空気をコントロールするための1手段にすぎません。マニュアルで覚えた人はそれ以外の方法は使えませんが、仕組みで覚えていれば応用できます。
ビニールをかぶっているのは、水と風を防ぐことができるからです。また空気も蓄えることができるので、保温することもできます。ビニール類はすべて同じことができるので、ラップをふわっと体にまくのも同じ効果があります。
しかし、ビニール類を着たままでいると蒸れてきます。そうすると気化熱が奪われ、体は冷えてきます。ビニールをまけば暖かいと覚えてしまった人はその後の対応ができませんが、水と風と空気をコントロールする1手段として覚えている人は、汗をふいて再度かぶりなおすと同じ効果が得られることがわかります。
新聞紙をまるめているのは何をしているかというと、空気をためているのです。新聞紙をぴったりまきつけるより、空気を蓄える形=まるめたほうが暖かくなるのはそのためです。
空気を蓄えればいいので、新聞紙がなくても衣類をまるめてつっこんでもいいです。小さいビニール袋に空気を入れ、口を閉じたものを何個もインナーの上、中間着やアウターの内側に入れ込めば、断熱素材を身につけることになります。また、新聞紙がなくても、カバンに足をつっこめば、動かない空気の中に入ることができます。
このように、とにかく何を使ってもいいから「動かない空気を利用する」と覚えている方が、マニュアルやアイデアばかり多数覚えている人よりも応用できるし、効率のよい覚え方をしていると思うのです。
すべてはいかに空気が自然界最高の断熱性能を持つかを体感できているかが、応用力の違いになって現れます。
気温が低ければ空気をためる。風があれば風を防ぐ。水や汗で濡れていれば、水を防ぐ。「その時には何を使っても大丈夫」と覚えておけば、その場にあるものを何でも利用できますから、万能技と言えるのでは?
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方