到着ロビーに置かれた「バーチャル警備システム」

東京都は27日、ロボットによる警備や案内の実証実験を大田区の羽田空港第1旅客ターミナルで実施した。セコムが2種類、ALSOKとテイケイが1種類ずつの計4種類のロボットが公開された。セコムは「バーチャル警備システム」を披露。等身大のバーチャル警備員が、立入禁止区域に入ろうとする人物を注意する実験を行った。

進入禁止エリアに近づくと敬礼し警告アナウンス

「バーチャル警備システム」では大型画面に警備員の動画が映し出される。カメラやセンサーが搭載され、人工知能(AI)も利用。警備員の目が画面の一番手前にいる人物の顔に照準を当て、動きを捉えるようになっている。今回の実証実験では外部から進入禁止のターミナルの到着出口に置かれ、ここに進入しようとすると、敬礼し警告のアナウンスを行った。防災センターなどへの通報も可能となっている。公共の場での実証実験は今回が初めて。セコム本社に普段から置かれており、人の呼び出しといった受付機能をこなし、会話もできるという。今回の実験では女性の絵だが、男性に代えることも可能。セコムでは来春の発売を目指しており、人間の警備員の半分のコストで利用可能とする計画としている。

アームを伸ばしごみ箱を調べる「セコムロボットX2」

セコムは他にも施設内を自律走行し、全方位カメラの他、アームには熱センサーも搭載した「セコムロボットX2」も披露。ごみ箱などの死角の多いところもアームを伸ばして調べることができる。ALSOKのロボット「REBORG-Z(リボーグゼット)」も自律走行型。AIやセンサーを搭載し、ロビーのソファの下に不審物がないか調べる実験を行った。不審物を見つけると防災センターへの通報が行われる。テイケイの「デジタル警備員」は大型タッチパネルで、施設内の案内機能の他、防犯カメラやAIを搭載。簡単な応答以外に、インターホンで警備員と通話することもできる。

東京都では2020年東京オリンピック・パラリンピックへ向け「Tokyo Robot Collection(東京ロボットコレクション)」と題したプロジェクトを今年度から実施。大会組織委員会とも連携し、大会時のロボット活用を進め、世界へのアピールの他、人手不足やインバウンド増大などによる課題解決につなげていくことを目指す。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介