2019/12/06
日本企業が失敗する新チャイナ・リスク
■ ISOとGB規格
日本にも独自の工業規格が存在しJIS規格と呼ばれているのは、よくご存じのことと思います。しかし、世界的には別の工業規格も存在し、それがISO規格となります。
このISOは第二次世界大戦終戦後、新たに設立された国際連合規格調整委員会(UNSCC)によって、新たな世界標準機関の設立が提案されたことに端を発し、国際標準化機構を創設することで合意されました。その後、新しい組織は1947年2月に正式に業務を開始しています。
つまり、この国際標準化機構自体は、西欧先進国が主導し世界的な規格を統一するという目的で始まっており、当時技術大国として先導していた米国、ソ連、ヨーロッパ各国の思惑が取り入れられたものとなっています。
結果として、当時影響力の乏しかったアジア諸国や中国からは、その規格自体に影響を与えるだけの力がなかったことは事実として残っています。さらに、主導国家であった米国も自国の規格と相容れない部分は積極的に取り入れていないなど、自国保護の面も残した状況です。
ところが、時代は変化し中国が力をつけたことや、IT技術をメインとして大きく技術発展が進んだことで、中国国家としての技術規格も対応していく必要が出てきたことから中国では独自のGB規格(中国語の国標GuoBiaoの頭文字)の更新を早めている状況にあります。もちろん、最初はISO規格や先進国の規格を踏襲していましたが、最近はそれを上回る基準値などを積極的に取り入れてきています。
そんなことから、中国で事業を展開する日系企業も少なからず、変化の激しいGB規格への対応が否応なしに要求されており、特に昨今の環境対策面では日本の基準以上の厳しさを要求されるなど対応に四苦八苦している状況が垣間見られるのです。
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