2019/12/27
医師が語る感染症への知識のワクチン
予防
インフルエンザの予防は、手洗い、うがいというのが基本です。手洗いは流水、石けんでの洗浄で行いますが、アルコールも消毒効果があるとされています。流行期中は外出するときにマスクをするのもよいのではないでしょうか。マスクにはさまざまな素材があり、不織布製が比較的多く使用されています。不織布とは織っていない布という意味で、繊維や糸を織らずに熱や化学的な作用によって接着して布にしたものです。最近はそれ以外にも多くの種類のマスクが店頭で販売されています。
また、インフルエンザの予防にはワクチン接種も重要です。現在国内で用いられている不活化インフルエンザワクチンは、感染を完全に阻止する効果はありませんが、インフルエンザの発病を一定程度予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関して効果があるとされています。
乳幼児のインフエルエンザワクチンの有効性に関しては、報告によって多少異なりますが、少ないもので20%、多いもので60%の発病防止効果があるとされています。 さらに、乳幼児の重症化予防に関する有効性を示唆する報告が散見されます。
現在日本国内で多く用いられているインフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスA型株(H1N1株とH3N2株:香港型の2種類)とB型株(山形系統株とビクトリア系統株の2種類)のそれぞれを培養して製造されているもので「4価ワクチン」と呼ばれています。
感染した場合の対策・治療
インフルエンザの診断は、臨床的には流行期における突然の発症、高熱、上気道症状、全身倦怠感などの全身症状を全て満たすか、症状を全て満たさなくてもインフルエンザ迅速キットにより病原体の抗原が検出された場合とされています。しかし、感染早期ではインフルエンザ迅速キットの陽性反応が出ないことがあるので、検査時期が重要です。
治療薬としては、現在経口薬、吸入薬、静注薬などがあります。投与も1回のみの薬剤、5日間服用したり、吸入したりする薬剤などがあります。
副作用として、精神的な異常を伴うことがあるなどの報告もありますが、薬剤による症状なのか、インフルエンザそのものによる症状なのか、判定が大変難しいとされています。インフルエンザと診断され治療が開始された後、少なくとも2日間は、小児・未成年者が一人にならないなどの配慮が必要です。また比較的新しく販売された抗インフルエンザ薬におけるウイルス耐性の問題など、今後解決していくべき問題も指摘されています。
(了)
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