世界最速解析の秘密計算

サイバーセキュリティの世界は人材が少なく、育てようとしても教える人がおらず教育が追いつかない。このため、当社でも有望な人材のスカウトを積極的に進めている。秘密計算はデータを暗号化したまま複数のデータベースに分散して保存し、復号せずに暗号化したまま統計解析できる技術であり、特に注力している。1つのデータベースが盗まれても解読は不可能で安全だ。しかも世界最速の統計解析速度を誇る。今はゲノム解析に主に使われている。匿名化は2017年5月から個人情報保護法が改正され、扱いやすくなるため需要は増えるだろう。各種匿名化についてはコンテストも行われ、当社も優秀な成績を収めている。

サイバー攻撃については、アクセスしてはだめなサイトのアドレスを独自の技術でブラックリスト化している。市販のソフトからの情報だけでは足りず、情報を米国等の大学等とも提携して集めている。サイバー攻撃はメールやUSBなどあらゆるルートからやってくる。ログ分析、不正ログイン検知、DDoS、Slow DoS対策等も行っている。また、セキュリティオーケストレーションという技術も検討している。ログ情報を分析することで攻撃を検知し、オペレーションセンターからコントローラーに制御指示を自動的に出して最適なポイントで攻撃を遮断し、クリーニングセンターで制御する。

NTT CERTでは様々なサイバーセキュリティに関する対応をNTTグループ向けに行っている。このNTT-CERTは発足から12年目で、日本でも最も古い部類のCSIRTである。高度のセキュリティ診断や分析も行っている。

縦割りをなくし総合型の危機対応を

これまで説明してきたように、東京2020大会に向けて、重要インフラがサイバー攻撃のリスクにさらされている。現状では、当社でも自然災害は災害対策本部、情報システムはSOC・CSIRTと対応は縦割りになりがちだ。縦割りのまま、なんとか自然災害などの危機対応を行い、今に至っているのが多くの日本企業の姿だ。まだ日本はサイバー攻撃で人命が失われるほどの大きな被害を受けたことがないということもあろう。しかしこれからは現状のような、バラバラの対応ではだめで、組織・分野を統合した危機対応のマネジメントが必要だ。

東京2020大会では政府を始めとして、多くの様々な組織がかかわる。サイバーからリアルな事象に至る複合的な危機が発生した場合、単一組織での解決は困難だ。リオオリンピックでは大きな問題は発生しなかったが、東京2020大会では万全の体制を構築しておく必要がある。

リスクマネジメントをする組織は基本的に一つで良いはずである。「総合リスクマネジメント」として、サイバーだけでなくリアル・フィジカルも含めた異なる組織・分野間における共通プロセスSOP(共通の運用手順)を作る。そこをどうICTでカバーするか。当社では「KADAN」という経営層、管理層に対して危機対応マネジメントを支援するツールの開発を進めている。これからは現場支援というより、経営層と管理層の危機対応に対する考えに変革を促すことに重きを置いてやっていきたい。

(了)