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企業は現在、気候変動の原因となっている温室効果ガス(Green House Gas: GHG)について、事業活動からの排出削減に取り組んでいる(気候変動緩和策)。また、これまでのGHG排出の影響で変化した気候システムによる異常気象災害の拡大への対策を進めている。異常気象災害によって、例えば工場への損害による操業停止やサプライチェーンの寸断による事業活動の停滞など、企業活動への直接的影響が懸念される。異常気象による損害の防止、軽減策(気候変動適応策)としては、サプライチェーンの複線化、保有財物の移動などを含むリスク制御策や、保険などによるリスク財務策の検討が考えられる。これらの対策にはリスク関連コストの増加を伴う。

気候変動は極端なケースにおいては、社会補償システムの変調を引き起こす。例えば、災害リスクによる損害額が極端に上昇すれば、保険料の高騰、最悪の場合は民間保険サービスの縮小といった保険システムへの影響が懸念される*1)。さらに、関連システムへも影響が及ぶ。例えば、融資における担保価値の低下に伴い、融資サービスへ影響が及ぶ。

企業活動や金融サービスに関わる影響に加え、社会にとっても、住民の安全への影響、災害発生地域への緊急対応、復旧、復興が必要となる。社会レベルの影響はその地域で活動する企業への直接、間接のインパクトを与える。

このように、環境問題は社会システムの様々な領域に影響を及ぼし、企業活動に直接・間接のインパクトを与える可能性がある。企業としては、図表-1のような広範なインパクトを念頭に対応の検討が必要となる。