2020/02/12
WITHコロナのBCP
当面1カ月は中国国内の動きを避けるべき
Q9 海外の人と日常的に接触するビジネスやサービスも多数存在します。企業としてはどう対策をとればよいですか?
まず従業員の海外派遣ですが、中国国内の動きは避けたほうがよいと思います。どのくらいの期間かは難しいところですが、向こう1カ月はできるだけ出張を控えたほうがよい。また中国の駐在員も動き回らないほうがよいでしょう。
なぜかというと、いまは事態が急激に変化しています。湖北省以外の感染者がどう増えるかわからず、中国国内の社会不安が増幅してくるおそれもある。飛行機がいつ止められるかわかりませんし、暴動が起きる可能性も否定できません。
ただ、中国からの駐在員の退避は、湖北省以外の都市で死亡者が増えくれば話は別ですが、いまの状況では、必要ないと思います。
あとは中国から帰って来られた方への対応ですね。湖北省からの帰国者は検疫からの指示に従ってください。それ以外の中国から帰国者は、自宅待機にすることはないけれど、2週間は毎朝晩検温し、熱があるようなら早めに保健所などへ連絡し受診いただく。そしてマスクが手に入れば、人ごみの中に入るときはつけてもらう。それくらいの注意で、2週間は自主的な健康管理をしていただけばよいでしょう。
Q10 旅行客と常に接するサービス業や観光業はどうすればよいですか?
そうした業種の方々がほかの人より感染リスクが高いのは確実で、もちろん、注意していただく必要があります。しかしビジネスを停止するわけにはいかないでしょうから、たとえば観光ツアーであれば、スタート前に「体調の悪い人はいませんか?」と尋ね、もしいれば申し出てもらうような対応が必要だと思います。
観光客の方々にマスクをしてもらうのは難しいかもしれませんが「手洗いをよくしてください」と呼びかける分には問題ないでしょう。スタッフの方々が手洗いやうがいを励行することはいうまでもありません。
接客スタッフがマスクをする・しないも、一概にはいえませんが、高齢者や慢性疾患を持っている方は、したほうがよいと思います。こうした状況ですから、事前にきちんと理由を説明してから着用すれば問題ないでしょう。
プロフィール
濱田篤郎(はまだ・あつお)
1981年東京慈恵会医科大学医学部卒業。84年米国Case Western Reserve大学に留学し熱帯感染症、渡航医学を習得。帰国後、東京慈恵会医科大学・熱帯医学教室講師を経て2004年から海外勤務健康管理センターのセンター長に。10年から東京医科大学教授、東京医科大学病院渡航者医療センター部長に就き、海外の勤務者や旅行者の診療にあたっている。
(リスク対策.com 竹内美樹)
WITHコロナのBCP の他の記事
おすすめ記事
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20
-
企業存続のための経済安全保障
世界情勢の変動や地政学リスクの上昇を受け、企業の経済安全保障への関心が急速に高まっている。グローバルな環境での競争優位性を確保するため、重要技術やサプライチェーンの管理が企業存続の鍵となる。各社でリスクマネジメント強化や体制整備が進むが、取り組みは緒に就いたばかり。日本企業はどのように経済安全保障にアプローチすればいいのか。日本企業で初めて、三菱電機に設置された専門部署である経済安全保障統括室の室長を経験し、現在は、電通総研経済安全保障研究センターで副センター長を務める伊藤隆氏に聞いた。
2025/11/17






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方