安否確認は伝達の対象、手段、被災時の状況が多岐に渡る(写真:写真AC)

■「だれを対象」に「どこまでの範囲」を指すのか?

安否確認は、災害が発生した際に「利害関係者」が無事であるかどうかを確認したり、出社、帰社、移動の可否を尋ねたりするための作業である。「利害関係者」とは、家族・社員・顧客などさまざまであり、また安否確認先として考慮する対象も多岐にわたっている。そうした安否確認の種類と特徴について考えてみよう。

真っ先に安否を知りたい家族だが、シチュエーションはさまざま(写真:写真AC)

【家族】真っ先に安否を知りたいのは家族である。ただし、ここには一筋縄ではいかないさまざまなシチュエーションがある。例えば子供が幼稚園や保育園に通っている場合、高齢の親が介護施設に入所している場合、各施設に確認することになる。入院中の家族がいれば病院への確認が必要である。

家族が地震発生時にどのような活動状況にあるかで、複数の問い合わせ先に安否確認をしなければならなくなる。

社員も発災時にどこにいるかによって確認先が複数に(写真:写真AC)

【社員】社員本人についても、発災時にどこにいる(可能性がある)かによって、安否確認先が複数になる。外出・出張中の社員なら、会社からそれほど遠くないエリアにいる場合、国内の遠方に出張中の場合、海外に出張中の場合などさまざまな状況が想定される。社内にいるはずなのに見当たらない、連絡がとれないといったこともしばしば起こる。

集客性のある施設では顧客の避難誘導とセットでの安否確認が必要(写真:写真AC)

【訪問客】百貨店やデパート、スーパー、ディスカウントストア、そしてホテルその他の集客性のある施設などでは、営業時間中に災害が発生すれば、避難誘導とワンセットで顧客の安否を確認することが求められる。ホテルなどは宿泊客のリストが完備されているから安否確認は比較的容易だろう。

しかし、不特定多数の人が入り乱れるいわゆる「買い物客」の場合は、安否確認のハードルは限りなく高くなる。店内に逃げ遅れた人がいないかどうか声掛けをするのが精一杯かもしれない。

なお、打ち合わせやプレゼンテーションなどで自社にやってきた他企業からの「来訪者」については、面会に応じた社員が責任を持ってその人たちの安否をフォローすることが肝要である。