災害対応には代替要員の確保が必須(写真:写真AC)

■代替要員を確保するには

さまざまな階層のメンバーをBCPに規定していても、実際は想定外の人員不足に悩まされるのが多くの災害対応の現実である。そのため、必要な人材が業務や復旧活動に就けない場合に備えて、代替要員の確保が必須となる。代替要員の確保も「事後に適切に対処する」ための「事前対応プラン」であることを忘れてはならない。

前回は、災害発生直後のシチュエーションによって発生し得る3つの人員不足のパターンを示した。「危機対策メンバー10名のうち4名が出社できない」「顧客からの問い合わせに回答できる営業社員が一人も出社していない」「代替生産の出向先に派遣できる社員が不足している」の3つである。

このうち「危機対策メンバーの欠員」については、比較的解決しやすいのではないだろうか。BCPの基本として、各自の役割を「メイン(主)」と「サブ(副)」の2名で分担することになっているからだ。

例えば総合企画部長(メイン)が出社できない場合に備え、総合企画部課長または主任クラスの人をサブに指名しておく。2名とも対策本部の活動にしばらく参加できないとなったら、対策本部長以下、他のメンバーで役割を兼務するしかない。

問題は後者の2つ、つまり実際に現場の最前線で活動にあたる従業員の欠員である。これについては、次の「ドキュメントベースの対策」と「能力開発プログラムによる人材確保」で説明する。