怖い「劇症型A群溶連菌感染症」
A群β溶連菌は、このほかに丹毒(皮膚の感染症の一つで、感染部位の痛みや圧痛があり、全身症状として発熱をともなうことがあります)、膿痂疹(とびひ)、蜂窩織炎、敗血症、壊死性筋膜炎などを引き起こすことがあります。

最も恐れられているのは、劇症型A群溶連菌感染症といわれている疾患です。この疾患は小児より成人に多く見られ、急激に発症するショック症状から多臓器不全または死に至る敗血症病態と定義されています。

溶連菌感染症が流行するのは、咽頭・扁桃炎は冬から春に多く、皮膚感染症は夏から秋にかけて多いといわれています。

診断

正確な診断は菌を分離して行う(写真:写真AC)

咽頭所見で臨床的に診断できなくはありませんが、正確な診断は菌を分離することです。近年は迅速診断として、病巣擦過綿棒から抽出したA群特異多糖体とA群特異多糖体抗体を反応させて調べる迅速キットが日常診療で使用され、診断に役立っています。

しかし、溶連菌は人の常在菌の一つでもあり、咽頭から分離されても、感染症の原因というわけではないことがあります。また細菌の細胞外産生物質に対する抗体測定として抗ストレプトリジンO(ASO)の値を測定して、診断の一助とすることもあります。

感染経路、感染力

感染経路は、感染発症者の気道分泌物との接触です。つまり感染発症者からの飛沫感染や直接接触感染により伝搬していきます。

発症者からの飛沫感染や接触感染によって伝搬(写真:写真AC)

咽頭炎の場合、急性期に最も感染性が高いとされています。適切な抗菌剤による治療を行うと24時間以内に感染性は消失するとされていますので、治療開始後48時間経過すれば集団生活に復帰できるといわれています。もし無治療であれば、通常は数週間かけて治っていきます。

また学校における流行期に学童を咽頭培養で調査した結果、溶連菌感染があった人は25%いましたたが、この人たちから他人へ感染が伝搬することはほとんどなかったとの報告があり、無症状の場合や咽頭保菌者からの感染の可能性は低いといわれています。

ただし、溶連菌感染症が集団発生していて、かつリウマチ熱や急性糸球体腎炎が複数例発生している場合、適切な治療にも関わらず数週間にわたって同一の人に複数回A群溶連菌による咽頭炎が生じている場合は、周囲の無菌保菌者に対しても治療の介入が必要だといわれています。