2017/05/18
防災・危機管理ニュース

社団法人日本医療資源開発促進機構は12日、「巨大災害に学ぶ 医療資源有効活用のイノベーション」と題し、「都市防災と集団災害医療フォーラム」を開催した。
登壇した東京大学大学院医学系研究科集中治療部部長の森村尚登氏は、大災害への体系的な医療アプローチとして①指揮/統制(Command)、②安全(Safety)③情報共有(Communication)④リスク評価(Assessment)⑤トリアージ(Triage)⑥治療(Treatment)⑦搬送(Transport)を挙げ、「これまで災害医療では後半の3つのTTT(トリアージ・治療・搬送)が重要視されてきたが、本来であればそれ以上にメディカルマネージメントとして前半の4つのCSCA(指揮/統制・安全・情報共有・リスク評価)が重要」とした。
さらに「現在は行政・日赤・医師会・病院などさまざまな災害医療チームの全容を把握・統括する組織がない。災害時医療には国家的な戦略と統括機関の設置、そして情報の一元化が必要」と、国家的な災害医療対応の重要性について訴えた。
課題解決の1つとして同氏は昨年4月に発足した日本救急医学会、日本集中医療学会など7つの学術団体が加盟する「2020年東京オリンピック・パラリンピックに係る救急災害医療体制を検討する学術連合体(コンソーシアム)」に言及。「さまざまな関連する学会が協力し、課題の解決に向けて取り組んでいきたい」と意気込みを話した。
■「2020年東京オリンピック・パラリンピックに係る救急災害医療体制を検討する学術連合体(コンソーシアム)」
http://www.jaam.jp/html/info/2016/pdf/info-20160520.pdf

フォーラムではほかにも戸田中央医科グループ災害対策特別顧問の野口英一氏から「災害医療を多元的にみる」と題した講演が行われたほか、厚生労働省DMAT事務局の小井土雄一氏、東京都医師会副会長の猪口正孝氏、産経新聞科学部記者の伊藤壽一郎氏、大和ハウス工業取締役専務執行役員の堀福次郎氏らが加わり、パネルディスカッションを開催。熊本地震の関連死問題や避難所における医療問題などについて活発に話し合った。
次回フォーラムは東京大学病院において9月15日に開催予定。
(了)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年12月5日配信アーカイブ】
【12月5日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報その2 企業の対応状況
2023/12/05
-
-
エマージング・リスクにどう備える1組織だけでなく、社会としての対応が必要
エマージング・リスク(emerging risks:新興リスク)と呼ばれる、これまであまり認識されていなくて急に出現するようなリスクへの関心が世界的に高まっている。10月にはエマージング・リスクの国際規格「ISO31050」が発行された。今なぜエマージング・リスクへの関心が高まっているのか、組織はどう対応していけばいいのか、日本リスクマネジメント学会(理事長:亀井克之関西大学教授)関東部会の会合で、会員に聞いた。
2023/12/02
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年11月28日配信アーカイブ】
【11月28日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:今こそ学び直す!南海トラフ地震臨時情報 その1
2023/11/28
-
東京都がオールハザード型Step.1を公表
東京都は11月24日、都政BCPを改定した「オールハザード型Step.1」を公表した。これまで主に首都直下地震を想定してきたが、東部低地帯における大規模風水害、島しょ地域での南海トラフ地震による津波被害、火山噴火、中規模な災害など、災害の事象や規模によって対処方法は多岐にわたることなどから、柔軟に対応できるBCPに改定した。これに併せて、被害の実態に即した執行体制を構築することで、災害対応力も一層向上させるという。
2023/11/27
-
南海トラフ地震臨時情報への理解と対応
リスク対策.com はこのほど、気象庁が2019年5月31日から運用を開始している「南海トラフ地震臨時情報」について、企業がどの程度理解し、対応を検討しているかなどを明らかにするため、アンケート調査を実施した。その結果、臨時情報の内容については概ね理解がされているものの、対応について検討したり、具体的な計画を策定している企業は一部にとどまることが明らかになった。
2023/11/26
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方