2017/05/31
防災・危機管理ニュース
さらに緊張を高める北朝鮮弾道ミサイル発射問題。29日の政府の発表によると、同日午前5時40分に北朝鮮は日本海に向けて弾道ミサイルを発射。ミサイルは約400キロ進み、新潟県佐渡島から約500キロ、島根県隠岐諸島から約300キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられている。
半島情勢が緊迫するなか、今すぐ企業がやるべきことは何か。海外におけるさまざまな危機管理サービスを提供するアクサ・アシスタンス・ジャパン株式会社マーケティング部長の島田幸祐氏に聞いた。
- 今回のミサイル発射で、朝鮮半島情勢は変化するのでしょうか?
現時点では今回の北朝鮮のミサイルの発射によって、戦争勃発の危険度が一気に増したわけではありません。ただし、非武装地帯における活動が活発化していることが観測されており、今後非武装地帯や黄海紛争国境沿いにおける軍隊活動がさら増え、朝鮮半島における警戒感が高まる可能性があります。
- 韓国に拠点を置く日系企業が今すぐしなければいけないことは?
韓国に拠点を置く企業は(これは韓国に限らず世界中のどこにおいてもあてはまることですが)、基本的な緊急時の備えを確認しておくことが重要です。例えば、病院や交通機関、空港、港などの所在地を把握しておき、また緊急時の避難経路や集合場所も確認しておく必要があります。
- 韓国から緊急避難しなければならない時に気を付けなければいけないことは?
非常時には空港が通常営業の状態に復旧するまで時間がかかることが想定されるため、航路や航空会社が指定されてしまっているオープンチケットは、残念ながら緊急避難の手段としては有効ではありません。
- 普段から何を備えておけばよいでしょうか?
非常時に備えて普段から自宅やオフィスなどで水を備蓄することも重要ですが、韓国ではビルトインタイプや電源が必要なウォーターサーバーが普及しています。このタイプだと緊急時にインフラが落ちた場合に利用できないため、電源がなくても水の利用ができるボトル型のウォーターサーバーや、なければペットボトルの準備をお勧めしております。ペットボトルは持ち運びができるサイズのものが良いでしょう。
水は最低でも3日分(一人1日3リットル)の確保を推奨しています。小さなお子様がいる場合には、さらに多くの水の準備が必要です。
また、いざという時にはなるべく小さなバック一つで移動することが望ましいため、最低限必要なものがどこにあるのか把握しておきましょう。
- 海外の情報収集において気を付けないことは?
大使館との連絡体制を整えるため、まずは外務省のホームページから「たびレジ」の登録を行うことをお勧めします。ただし、外務省の危機レベルだけに頼ってしまうと初動が遅れることもあり得るため、他にもさまざまな情報ソースを持ち、柔軟に状況を判断していくことが大切です。
(了)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/11/18
-
企業存続のための経済安全保障
世界情勢の変動や地政学リスクの上昇を受け、企業の経済安全保障への関心が急速に高まっている。グローバルな環境での競争優位性を確保するため、重要技術やサプライチェーンの管理が企業存続の鍵となる。各社でリスクマネジメント強化や体制整備が進むが、取り組みは緒に就いたばかり。日本企業はどのように経済安全保障にアプローチすればいいのか。日本企業で初めて、三菱電機に設置された専門部署である経済安全保障統括室の室長を経験し、現在は、電通総研経済安全保障研究センターで副センター長を務める伊藤隆氏に聞いた。
2025/11/17
-
-
-
-
-
社長直轄のリスクマネジメント推進室を設置リスクオーナー制の導入で責任を明確化
阪急阪神ホールディングス(大阪府大阪市、嶋田泰夫代表取締役社長)は2024年4月1日、リスクマネジメント推進室を設置した。関西を中心に都市交通、不動産、エンタテインメント、情報・通信、旅行、国際輸送の6つのコア事業を展開する同社のグループ企業は100社以上。コーポレートガバナンス強化の流れを受け、責任を持ってステークホルダーに応えるため、グループ横断的なリスクマネジメントを目指している。
2025/11/13
-
リスクマネジメント体制の再構築で企業価値向上経営戦略との一体化を図る
企業を取り巻くリスクが多様化する中、企業価値を守るだけではなく、高められるリスクマネジメントが求められている。ニッスイ(東京都港区、田中輝代表取締役社長執行役員)は従来の枠組みを刷新し、リスクマネジメントと経営戦略を一体化。リスクを成長の機会としてもとらえ、社会や環境の変化に備えている。
2025/11/12
-
入国審査で10時間の取り調べスマホは丸裸で不審な動き
ロシアのウクライナ侵略開始から間もなく4年。ウクライナはなんとか持ちこたえてはいるが、ロシアの占領地域はじわじわ拡大している。EUや米国、日本は制裁の追加を続けるが停戦の可能性は皆無。プーチン大統領の心境が様変わりする兆候は見られない。ロシアを中心とする旧ソ連諸国の経済と政治情勢を専門とする北海道大学教授の服部倫卓氏は、9月に現地視察のため開戦後はじめてロシアを訪れた。そして6年ぶりのロシアで想定外の取り調べを受けた。長時間に及んだ入国審査とロシア国内の様子について聞いた。
2025/11/11





※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方